民医連新聞

2006年11月6日

地域で医療を守る “こんな楽しい運動は初めて”国保料引下げ直接請求 新潟市

 いのち・暮らしを守るとりくみを紹介する新連載です。第一回は、新潟市から。同市では、国保料引き下げを求める直接請求運動を展開しまし た。「保険料が高すぎて、払いたくても払えない」という市民の声は切実で、やればやるほど運動は広がりました。新潟民医連・酢山省三事務局次長の寄稿で す。

 「新潟市の国保料引下げを求める条例改定案」は、九月二九日、本会議場の傍聴席からあふれた市 民がロビーで中継を見守る中、否決されました。しかし、直後の集会では、「新潟市の国保をよくする会」メンバーからは「よくやった」「否決されたが、今後 の運動の足がかりはつかめた」の声が飛び交い、落胆の表情はありませんでした。

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 昨年末、新潟市は突然「基金の枯渇と合併等による国保財政の赤字転落防止」を理由に、一七%もの国保料値上げを打ち出しました。
 「会」の運動はここでスタート。「一般財政から繰り入れ、国保料は引上げないで」という請願署名にとりくみました。しかし、請願は否決。「〇六、〇七年 度に二五億円繰入れて、引き上げは平均九・四%」という内容で、当初案こそ変えさせましたが、七月から保険料が上がりました。
 そこで「会」では、「値上げ前の国保料でも払えなかったのに」という市民の声に、一一年ぶりに国保料引下げを求める直接請求運動にとりくもうと決めました。
 七月一〇日から一カ月間が署名期間です。三二〇四人の受任者が全市で大奮闘。「地域をまわれば断わる人がいない」、「協力を訴えれば、逆に感謝される」 という〝楽しい運動〟で、成立要件の一万三〇〇〇筆(有権者の五〇分の一)を大幅に超える九万七六八一筆・有権者比一五%の署名を集め、市長に提出しまし た。
 新潟民医連も夏の最重要運動として位置づけ、市内の全事業所で目標を決め、全体の受任者数、署名数の二〇%をやりきり、運動の推進役を果たしました。職 員はパート、臨時も含めて六〇%の四五〇人が受任者に登録、待合室で、地域で、家族や知人にと目標達成で奮闘し、受療権を守る運動を体感しました。特に共 同組織は力を発揮し、地域の「国保をよくする会」の事務局的な役割を果たしました。
 先日開いた「会」の総括会議では、一般財政からの繰入れ実績をつくったこと、条例改定案は否決されたが、税制改定と市の値上げのダブル値上げとなる六五 歳以上の高齢者の国保料減免へ、今後の運動の足がかりをつくったこと、そして、地域で社保活動をすすめる基礎ができた、という多くの成果を確認し、一一月 一二日投票の市長選挙での奮闘を確認しました。

(民医連新聞 第1391号 2006年11月6日)

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