事業所のある風景

2007年4月15日

北海道/勤医協北白石 在宅総合センターデイサービスセンター 花さか荘 地域の在宅生活支援の拠点めざして

民家改修型通所サービスをめざして

 北海道勤医協は、介護保険法が実施された2000年に勤医協ヘル パーセンターを開設し、2006年までに各診療所のほかに札幌市内に10ヶ所の在宅総合センターを開設しました。北白石在宅総合センターは2003年に、 居宅支援、訪問介護、訪問看護のサービスでスタートし、2006年10月にデイサービスセンター花さか荘のオープンのため、現在の地に転居してきました。 住み慣れた町で安心して暮らしたい、その高齢者の願いを支えるために、それまでの訪問系サービスに加え、ゆっくりと過ごしていただける民家改修型通所サー ビスをめざしました。

「花さか荘」というネーミング

 名称は職員の中で公募して決めました。20ほどの案が出され、最 後まで残った2つで決選投票を行った結果、この名前に決まりました。「みんなで花を咲かせよう」という意気込みや夢が伝わってくる名前で、利用者にもよく 覚えていただけるようです。小さな庭もあり、春には花をたくさん咲かせ、野菜も作ろうと利用者も職員もご近所の方も今から楽しみにしています。昼食、おや つも自前で作り、時には利用者も野菜を切ったり、茶碗洗いを一緒にします。

小規模デイサービスが始まって

 2006年10月に開設された花さか荘は、利用者確保が最大の課 題です。2007年2月現在、10名の定員に対して、1日利用者数は4.5人、多い日は7人の利用者に職員、ボランティア、見学者などで、売りの「静かで 落ち着いた環境」は危うくなりますが、少ない日は経営の重みをひしひしと感じます。友の会の皆さんにふれあい喫茶に来ていただいたり、お試し利用で、1日 も早く目標を達成し、10月には土曜日のサービス提供をめざしています。押し花作り、民謡、将棋・マージャンの相手、太極拳の指導、傾聴などボランティア は力強く通所サービスを支えています。近所の方、元ヘルパー、社会福祉協議会からの派遣など、1日数時間で小さな世界を豊かに、色いろに味付けしてくれま す。

在宅総合センターの利点を生かして

 利用者のうち最も多いのが要介護3。要介護4と5の利用者も各1 名いて、当初予想していたよりも重介護者が多いという印象です。大規模デイサービスからは認知症の利用を依頼されるケースも少なくありません。一人ひとり の話を丁寧に聴き、入浴も普通の風呂でゆっくり行っていただくなど、不安を取り除くことで少しずつ私たちのサービスを受け入れていただいています。ご家族 ともよく連絡をとり、通所での様子をお伝えすることで、在宅での生活も落ち着いてきます。ヘルパーやケアマネジャーが通所に訪れる利用者を迎え、在宅総合 センターの利点が生きています。

住み慣れた地域で安心して暮らしていく

 札幌市には周辺市町村から呼び寄せられた高齢者が、今後も増加し ていきます。花さか荘にもそうした高齢者が何人もおり、不慣れな土地で閉じこもりがちになり、認知症の症状もすすんでしまう場合もあります。高齢者が住み 慣れた土地で、安心して最後まで暮らしていけるまちづくりは、自治体の急がれる仕事です。花さか荘は高齢者に頼られる存在をめざし、地域にもとけこめるよ う職員一同努力と工夫をすすめています。

勤医協北白石在宅総合センターデイサービスセンター 花さか荘 所長 長尾 近)

「民医連院所のある風景」 『民医連医療』2007年4月号.No.416より

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