事業所のある風景

2007年6月15日

京都/京都協立病院 開設にかかわった先人たちの思いを胸に

養蚕のまちとして栄える

 京都協立病院がある京都府綾部市は、京都府のほぼ中央に位置し、市街地を清流由良川が流れる山紫水明の丹波盆地の中にあります。京都市内からはJR山陰 本線で北へ約1時間20分のところです。綾部市は古くは丹波国とよばれ、平安時代には隣接する福知山市とともに荘園が多く存在していたところでした。江戸 時代には水軍で有名な九鬼氏の綾部藩2万石などが地域を制し、地場産業は昔から養蚕が栄え、繊維業の「グンゼ」発祥の地として知られています。

あやべ民主診療所を基礎に発展

 1953(昭和28)年5月に、貧しい人びとを親身になって診てくれる庶民のための診療所をつくろうと、1口50円の募金を募り、十数名の方々が中心と なり運動をすすめて、綾部市本町4丁目の個人宅で「あやべ民主診療所」を開設したのが、京都北部での民医連の歴史の始まりです。当時、綾部以外の京都民医 連事業所は京都市内に存在していました。 1977年に医師体制が困難に陥り、閉鎖の事態に追い込まれましたが、「綾部での民医連の灯を消すな」の支援で同年に津田光夫医師を迎えることができまし た。その後1980年に綾部駅前に新築移転、1983年に綾部協立病院(35床)開設、1986年に55床、1991年に75床へと増床改築などすすめ発 展してきました。
 そして、綾部に民医連の事業所ができてから50年、病院開設から20年の節目となる2003年3月に、現在の綾部市高津町に新築移転し、病院名も京都協立病院に改名しました。

安心して受診できる小児科

 病院は田園地帯にあり、病室からの眺めは四季折々の移り変わりがよくわかります。明るく広い病室、廊下。食事はデイルームで食べられ、自宅と同じ生活で 療養できるなど、療養環境は大変よくなりました。一般病棟52床の稼働99.5%、療養病棟47床は98.2%です。外来は内科、外科など一般外来と小児 科を分離し、院内小児科診療所として受付から会計まででき、お母さん方から「安心して受診できる」と評判もよく、一般外来も含め特に福知山市内からの患者 が増えています。しかし、昨年の診療報酬改定、特に療養病棟の減収は大きく、移転後3年で黒字にする予定が大きく崩れました。

地域になくてはならない病院

 綾部に民医連診療所ができてから54年、京都府北部の事業所は現在、京都協立病院の他に4診療所、4訪問関係事業所の計9事業所となり、1日にその病院・事業所を利用する患者、利用者は約800人となっています。また働く職員は250人と大きく成長してきました。
 私たちは54年前、「生きていくのが精一杯の時代に、いつでも、だれでもが診てもらえる診療所を」と先頭になって開設に取り組まれた方がた、そして診療 所から病院、増床、移転と発展してきたその時どきでの先輩たちの苦労、困難や、地域・共同組織の方がたの大きなご支援を決して忘れずに、大変厳しい情勢で すが、地域になくてはならない病院、事業所として今後も活動をすすめていきます。
京都協立病院 事務長 杉山 充)

「民医連院所のある風景」 『民医連医療』2007年6月号.No.418より

リング1この記事を見た人はこんな記事も見ています。


お役立コンテンツ

▲ページTOPへ