副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2009年12月7日

副作用モニター情報〈323〉 クレストール錠(ロスバスタチン・抗コレステロール薬)の副作用

 クレストール(HMG-CoA還元酵素阻害剤)による副作用の報告が、昨年度から今年度第2四半期までに51件寄せられています。うち骨格筋系の副作用が14件、肝機能悪化が8件と多く見られ、全症例の8割以上が低用量2.5mg/日でした。
 骨格筋系の副作用症状は、下肢や全身・首・肩などの筋肉痛、脱力感、足のつりなどです。これらは、横紋筋融解症の初期症状ともいえ、着色尿や CK(CPK)値の上昇も4件報告されています(CKの最高値は1275IU/Lにも)。筋肉痛や脱力感は半数以上が、投与開始後5日以内に発症している のが特徴で、中止や他のスタチン剤への変更で早期に回復しています。
 外来では長期投薬になる場合もあると思われますが、肝機能悪化を早期発見するためにも、本剤投与開始または増量後は、12週までは月1回、それ以降も定 期的な血液検査と注意深い症状観察が基本です。また、横紋筋融解症の初期症状を患者さんに伝え、とくに腎機能が低下している患者さんには注意が必要です。
 そのほか、血液系の副作用で、赤血球減少・白血球減少・血小板減少を起こした症例が1件ありました。血小板減少については2009年9月に「重大な副作 用」として添付文書に追加記載されたところです。根拠となった、国内での重篤症例11のうち6例が投与開始後2カ月以内の発現であり、やはり初期のチェッ クが重要といえます。
 また、1件ですが、「運転中の記憶がとんだ」という記憶障害の報告がありました。米国FDAの公開情報では、類似薬リピトールによる健忘症、記憶障害の 症例が多く集積されています。原因は、脳内グリア細胞でコレステロール合成が阻害される結果、記憶野シナプスの機能が低下するためとの説があります。クレ ストールの添付文書では「健忘」の発現率は0.1%未満となっていますが、用量依存的といわれ、注意が必要です。

(民医連新聞 第1465号 2009年12月7日)

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