医療・福祉関係者のみなさま

2010年4月19日

フォーカス 私たちの実践 法人全体と友の会で乳がん検診 愛知・医療法人名南会 地域で検診をすすめ「乳がん死を減らしたい」

 愛知・名南病院では、乳がん検診に力を入れ、件数を増やしています。特に〇八年度は法人(名南会)全体でとりくんだ結果、一〇〇〇件を超えました。〇九年秋に行われた学術・運動交流集会で、名南ふれあい病院の松土敏子さん(事務)が発表しました。

 〇八年度、名南会では一万人の大腸がん検診運動と一〇〇〇人の乳がん検診運動にとりくむことに しました。そこで、運動をすすめる中心的な組織として法人健診委員会をつくりました。委員会は、名南病院の医師、乳がん検診担当者、組織課の健診担当者、 各病院・診療所の健診担当者に友の会の健診委員が加わる構成です。
 その中で、医師から「地域から乳がんで亡くなる方を一人でも減らしたい。家族の方に悲しい思いをしてほしくない」という強い思いが出され、メンバーは検診を広げるために知恵を絞り、次のようなしくみをつくりました。

独自のスケジュール表を作成

 (1) 乳がん検診の予約がスムーズに説明できるようにフローチャートを作成しました。
 (2) 予約時に使う、担当医師とマンモグラフィーを操作する放射線技師のスケジュール表を作成しました。検診は毎日ではなく、技師も男性と女性がいるので、患者様の希望に合わせて予約を取るためです。
 (3) 検診の担当医師が一人のため、待ち時間を短縮する工夫もしました。開始を一時間早め、午前の予約枠を医師の予定に合わせて延長しました。
 (4) 案内のポスターやチラシを何種類もつくり、トイレやエレベーターなど目につく場所にたくさん掲示して、宣伝しました。
 (5) 職員に対しても受診希望リストをつくり、法人健診委員からもすすめました。
 (6) 看護師は、前年度・前々年度に受診した人に手づくりの案内ハガキを送りました。
 (7) 内科医にも乳がん検診をすすめてもらうようにお願いしました。内科の予約のある患者様のカルテにその旨のコメントを入れたり、内科医専用の予約申込書を作成しました。
 (8) 友の会へは、乳がん検診担当者が班会に積極的に出向きました。またマンモグラフィーを新機種に更新したことを、友の会の新聞の一面に掲載し宣伝 しました。さらに、班会や訪問行動用に「乳がん検診お勧めセット」をつくり、いつでもどこでも予約が取れるようにもしました。その中で、名南病院からは遠 いところに住む友の会員が班で揃って受診するという経験も生まれました。

件数は3年前の倍以上に

 その結果、〇五年度は五四九件、〇六年度は六八八件、〇七年度は八〇八件だったものが、〇八年 度は一一四〇件に。三年前に比べると倍以上に増やすことができました。〇七年度までは名南病院だけのとりくみでしたが、法人全体で努力したことで三〇〇件 以上も増やすことができました。
 そして〇八年度の受診者のうち、八人に乳がんを発見しました。現在、「ひまわり会」という患者会で術後のフォローをし、患者同士が交流などをしています。
 今後の課題は、市の委託乳がん検診が二年に一度しか受けられない点を改善することです。今は一年おきに自費検診を受けるしかありません。これからも友の会と職員がいっしょに、啓蒙活動に努力していきたいと思います。

(民医連新聞 第1474号 2010年4月19日)

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