民医連新聞

2007年2月5日

確定申告 要介護高齢者に「障害者控除」活用できます

 確定申告の時期になりました。定率減税や老年者控除の廃止で増税になった庶民にとって、控除できる事項を見落さず申告することが 大事です。今年から一律市町村民税は一〇%に。申告は国保料(税)、介護保険料に影響します。要介護認定を受けている人、扶養している人は、自治体が発行 する「認定書」があれば「障害者控除」が受けられます。これを発行させ、共同組織や患者さんに知らせ、活用させる運動が広がっています。

集団で確定申告活用し後退ふせぐ
 北海道・十勝社保協

 北海道・十勝社保協では、長年の運動で管内の全市町村に「障害者控除対象者認定書」を発行させ、所得税と住民税の払い戻しを実現。「認定書」発行の集団申請をしています(『いつでも元気』一二月号)。
 いまの時期、認定書を活用して障害者控除を受けよう、と呼びかけています。マスコミに情報提供して周知をはかり、三五〇〇枚のチラシを配布、集団での確定申告も二月中に数回、予定しています(帯広・幕別)。
 事務局長の山本鉄雄さん(帯広病院)は「制度を後退させない運動として、活用する必要があるのです」と強調。「要介護の高齢者と世帯を別にしている子ど も世帯も、税法上の扶養関係があれば控除ができます」と活用を呼びかけています。さらに「障害者手帳を持っていても認定書で申請した方がいい場合がありま す。障害者手帳の等級などが低い場合は普通障害の扱いですが、介護度2で認知症のある人は、特別障害者の『認定書』を受けられることがあります」とアドバ イスしています。

認定書発行を促し市町村にアンケート
 大阪社保協

 大阪社保協では、要介護高齢者の障害者認定の重要性について、厚労省の事務連絡(〇二年八月一日「老齢者の所得税、地方税上の障害者控除の取り扱いについて」)にもとづき働きかけてきました。
 このほど「要介護認定者の障害者控除認定」について自治体アンケートを実施。全市町村から回答が届きました。集計すると、〇五年度に大阪府内で四七四人 が認定されています。各市町村での認定率を比較。すると、池田市がずばぬけて高く一・八%でした。
 それは、池田市の認定方法にありました。要介護1と2は「障害者」、要介護3・4・5は「特別障害者」と認定し、申請も簡単。市役所に行って「申請書」 に住所・氏名を書き、介護保険証のコピーを添付するだけ。ほかに提出物も調査もなく、申請しやすいのです。池田市は、この認定基準を二〇〇二年三月に定 め、毎年二月の広報に掲載しています。
 事務局長の寺内順子さんは「池田市の認定率を他の自治体にあてはめてみると、もっと多くの人が認定されるはず。大阪市なら一九六五人(実際は八六人)に なる」と、もっと活用できる可能性を指摘しています。また「事務要項などがまだない自治体でも、認定書の重要性は認識されてきているので、申請をしてみる 価値はある。運動はそこから始まるのです」と話します。
 大阪社保協は、全市町村にアンケートの結果を返し、制度拡充を求めました。また、各地域で高齢者や家族、介護保険施設やケアマネジャーにも知らせ、活用を呼びかけています。
 なお、「障害者控除認定日」は「要介護認定日」です。介護保険認定の有効期間に〇六年一二月三一日が含まれていれば可。〇七年一月以降の申請でも、確定 申告に間に合います。また確定申告の修正はさかのぼってできます。

納税者本人、控除対象配偶者、扶養親族に障害者がいるときの控除額

  所得税 住民税
普通障害 特別障害 普通障害 特別障害
障害者控除 27万円 40万円 26万円 30万円
高齢者(70歳以上)の扶養控除 48万円 48万円 38万円 38万円
老親(70歳以上)の同居加算 10万円 10万円 7万円 7万円
特別障害者の同居加算 35万円 23万円

 障害者控除対象者に認定されると、上表の金額を控除することができます。
参考)
 従来から寝たきり老人は、特別障害者に含まれていました。1970年の税制「改正」で、65歳以上で、障害の程度が身体障害者手帳の交付を受けている人 と同程度、と福祉事務長が認定した人を障害者控除の適用対象にしました。手帳の1・2級と同程度と認定される人は特別障害者控除の適用になります。
 2001年11月、新潟の運動で、国税庁は「実態として要介護者は障害者控除の対象者とほぼ一致」と認めました。各地の運動の結果、厚労省は2002年 8月、全国の自治体に事務連絡で、障害者の認定基準を示しました。

(民医連新聞 第1397号 2007年2月5日)

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