医療・福祉関係者のみなさま

2010年7月5日

フォーカス 私たちの実践 療養病棟で急変時に備える 神奈川・汐田(うしおだ)総合病院 学習の効果で介護職もスムーズに対応

 看護職と介護職がいっしょに働く療養型病棟。職員の配置が少ない夜勤帯などで患者が急変した時には、連携して不安なく行動するこ とが必要です。神奈川・汐田総合病院では、急変時の対応について学習会を開き、各人が自分の役割とチームの動きを明確にして、対応に生かしています。第九 回学術運動交流集会(群馬)で看護師の笹川優貴さん、星野愛さん、吉田咲季さんが報告しました。

 当病棟は、看護師、介護福祉士など介護職、看護補助者で構成され、勤務時間帯によっては、看護 師一人に介護職三人、夜勤帯は看護師一人、介護職一人という体制になります。日ごろから講習会などに行き、異常の早期発見・予防に努めていますが、急変時 の対応については経験が少ないスタッフがいます。看護師が患者の対応に集中している場合、介護職が適切な対応をとれるよう、学習会を開くことにしました。

自分の役割を学ぶ

 学習会の目的は、急変患者を発見したときの自分の役割について、各職種が理解し、チームでの行動について確認し、実際に活用できることです。三回開催し、介護職は一〇〇%の出席率でした。
 学習会では、ロールプレイやディスカッションを行い、アンケートに記入してもらいました。
 ロールプレイの事例は二つです。(1)半介助の患者がけいれん発作。挿管や人工呼吸器装着が必要になったケース、(2)朝食中、喉につまらせ呼吸停止し たケースです。看護職は患者役と対応看護師役になり、介護職は発見者とスタッフ役になりました。他職種との連携も考慮し、医師にも参加してもらいました。 その後の議論で、次のような意見が出ました。
 「看護師に指示された医療器具の名前や場所がわからない」
 「看護師の代わりに介護職が当直医師や患者家族に連絡するが、その方法や対応がわからない」
 「介護職が自分の役割と分担を把握できず、全員で患者のところに来てしまう場面があった」
 「スタッフ同士の声かけが少ないと、急変の認識が薄くなる」

意識の変化と改善

 アンケートでは、全員から「参加して良かった」「自分の役割がわかった」という回答が得られま した。自分の役割について質問したところ、介護職から「発見時の状況を看護師に伝える」「急変患者以外の患者を守る」「急変患者を発見したときにすぐほか のスタッフを呼ぶ」「急変時に使用する物品を用意する」「家族への連絡」「急変時は患者のそばを離れない」など、具体的な回答で、学んだことが現れまし た。
 学習会後、意識するようになったこととして、「当直医師のPHSを確認する」「スタッフ同士の声かけが増えた」などの回答が全職種から寄せられました。 介護職からは、「患者の既往歴や現病歴を把握する」「急変した患者の観察」「夜勤帯の巡視の回数が増えた」「救急カートや物品の確認をしておくようになっ た」などがありました。
 当直医師のPHS番号は、全スタッフがわかるように、ナースステーションのホワイトボードに毎日記載することにしました。救急カートの整備は、夜勤前に看護師と介護職で行うようにしました。

4カ月後の急変で生かす

 学習会から四カ月後、患者が心肺停止で発見されました。午前七時半、看護師一人、介護職三人の時間帯です。発見者が看護師に報告し、看護師は状態確認後、医師へ連絡、心肺蘇生を行いました。介護職は、ほかの患者の見守りにあたりました。
 朝食前だったので、患者を起こすのを中断。食前薬の投与や血糖測定が済んでいなかったので、食事は配らず、日勤看護師の到着を待ちました。介護職が適切に判断し、行動することができました。
 今後も定期的に学習会を開き、各職種の役割、チームの連携を深めていくことが課題です。

(民医連新聞 第1479号 2010年7月5日)

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