事業所のある風景

2008年12月15日

鳥取/鳥取生協病院 命と健康を守る砦として

 「もう一軒いかがですか~?」。帰宅しようと病院を出ると毎晩のように黒スーツにノーネクタイの若い男性から声が掛かります。たどたどしい日本語の女性 も迫ってきます。旧病院はそんな鳥取市一番の繁華街のど真ん中に位置していました。決して繁華街の真ん中に病院を建てたのではなく、病院を建てたところが 繁華街として栄えて行ったということですので、念のため。鳥取生協病院は前身の鳥取診療所時代、1952年からこの地に建って地域の歴史も見守ってきまし た。

療養環境も大きく改善

 この老朽化した病院を建て直すべく長期計画に盛り込まれ、建設委員会が設置され、文字通り法人、県連あげての建設運動が展開されました。今年3月にオー プンした新病院は、中心市街地を活性化させたいという鳥取市の強い思いもあり、旧病院からわずか100メートル余りの距離で大通りに面し、子ども・歯科ク リニックビルもすぐ近くで、立体駐車場も道路向かいという非常に恵まれた立地に建てることができました。
 死者1210人を出した鳥取大地震を経験している鳥取市において、中心市街地の防災拠点ともなるよう免震構造とし、建物外壁にも医療ガスの配管を行うな ど、地域の安全を守る造りとしています。その他、医療構想を練っていく中で、急性期をあくまで医療活動の中心に据えながら県東部では初となる緩和ケア病棟 を開設し、リハビリ(回復期病棟)を売りにしているといった特徴があります。1床あたりの面積を4.3・以上から8・以上に広げ、個室を増やし大部屋も4 床室までとするなど、療養環境も大きく改善し、大変喜ばれています。
 例えば、以前は子どもクリニックからの入院紹介で、母親が生協病院への紹介を嫌がるというケースがありましたが、現在は母親のほうから入院先は生協病院にと希望されるそうです。ちなみに、小児科用ベッドは6床ありますが、全て個室です。
 建設計画時、利用が心配されていた緩和ケア病棟も、病棟医の竹内勤院長の努力もあり、ほぼ満床状態が続いています。法人の看護師確保対策の取り組みも、例年と比べ中途採用がグンと増えています。

経営困難に直面して

 さて、こうした新病院建設効果の反面、建設後の経営困難への直面という大変大きな問題があります。日生協医療部会経営委員会の経営診断の結果を受け、 「経営再生運動」を法人をあげて取り組んでいます。病院としては、巨額の設備投資に見合った収益増構造にしなくてはなりません。外来の苦戦は、新病院オー プンと同時に稼動させた電子カルテの影響もありますが、何としても使いこなして運用も改善し、利点を打ち出していけるようにしなければと思っています。

職員の団結も強まり

 重たい話になってしまいましたが、今年は鳥取市の夏祭り「しゃんしゃん傘踊り」に、鳥取医療生協として初めて参加するなど職員の団結も強まり、若い力も 多く加わっています。必ずや建設後の経営を軌道に乗せ、組合員をはじめ、住民の命と健康を守る砦として発展していけるものと確信しています。
鳥取生協病院 事務長 富永 茂寿)

「民医連院所のある風景」 『民医連医療』2008年12月号.No.436より

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