医療・福祉関係者のみなさま

2010年8月2日

相談室日誌 連載310 初心を思う日々 武政 隆志 (京都民医連太子道診療所)

月日が経つのは早いもので、入職して六年が経とうとしています。「若い!」と言われていたのも遠い日のこと、一番年下だったのに、気がつけば後輩ができ、周囲からは「もう中堅やね」と言われるようになりました。
 仕事も責任ある立場になり、自分の力量はどこまであるのか不安の中でも、後輩の指導・教育もしていく…。同期で入った他職種の人たちも一人、二人と減 り、他病院で働く同期の人もまた減って…。困難ケースにいっしょに対応してきた仲間や、同じ時間を共有してきた同僚がいつの間にか少なくなり、ちょっとし た孤独感さえあります。典型的な「中堅の悩み」を日々抱えている状況です。
 そんな日常で、「入職した時の気持ちとはどんなものだったのか」と最近、振り返ることが多くなったように思います。当時は何もできない自分にヤキモキ し、患者様に何ができるのか、どのように患者様の話に耳を傾け、対応すればいいのか、もっと制度を勉強し、まずは知らなければ、無知は罪だ! 先輩たちの ように一人前になりたい、がんばっていこう! など積極的な熱い思いが溢れんばかりだったように思います。
 では、今はどうでしょうか。あれもしないと、これもしないと…。確かに新人のころより、制度についての知識も増え、面談技術も身につき、地域や関係機関 との連携もスムーズにできるようになり、情勢にも敏感になりました。でも、業務に追われて、自分がしたいことを見失っているのでは? そもそも、業務に追 われていることを言い訳にして、自分から意識的にアプローチしていないのではないだろうか? そんな疑問を感じます。
 医療機関の中では、さまざまな専門職が役割を果たしています。MSWやPSWなど、相談職もいろいろあります。名称は別でも基本はソーシャルワークで す。医療機関内での役割を果たすことはもちろん、自分が情報の発信源となって、地域にも職場内にも働きかけていかねばなりません。確かに日々の仕事も大変 ですが、言い訳では何も変わりません。ソーシャルワーカーとして今後もがんばっていきたい、「私が変われば、環境も世界も変わる」を胸に、悩み、立ち止ま ることがあっても、前進していきたいと思います。

(民医連新聞 第1481号 2010年8月2日)

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