副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2007年4月2日

副作用モニター情報〈265〉 塩酸メトホルミン(血糖降下薬)の副作用報告例から見えるもの

本製剤は、後発品も発売され、広く使用されるにともない、副作用も多く報告されるようになりました。2005年1月から2007年1月までに64例あり、概要は下記のとおりです。
  用量は、250㎎から750㎎(分3)、60歳未満が19例(30%)、60代は20例(31%)、70歳以上は19例(30%)であり、高齢者の例が多く報告されています(年齢不詳は6例)。
  乳酸アシドーシスの前駆症状と重なる症例が39例で症状は嘔気12件、嘔吐3件、腹痛4件、食欲低下4件、下痢15件、倦怠感6件、筋肉痛2件でした(重 複あり)。また、スルフォニル尿素剤(インスリン分泌促進剤)を併用しており、メトホルミンを追加または増量にしたための低血糖症状誘発が疑われる症例は 8例。症状は低血糖2件、口渇1件、頭痛3件、目のかすみ2件でした。
  ほか、発疹などの皮膚症状6件、肝機能障害、胃酸逆流、便秘、胃痛、苦味、放屁増加、CPK上昇、浮腫、脱毛、眠気、難聴が1件ずつと多様です。
  メーカーの報告では、乳酸アシドーシスの前駆症状は、軽微から重度まであり、自覚症状発現からは数日から数週間、中止後の軽快に数日から長期まで、さまざまです。見分けのつかない軽度の前駆症状が1~2週間ほど続いた後、アシドーシスに至ったケースも報告されています。
  添付文書で乳酸アシドーシス既往、腎機能障害、脱水、下痢・嘔吐などの胃腸障害、高齢者は「投与禁忌」とされています。塩酸メトホルミンは腎排泄型の薬剤 ですが、腎機能別の投与量設定は不明です。適応を正しく判断し、腎機能低下が考えられる患者への投与は注意し、高用量は避け、軽い消化器症状も軽視せず、 腎機能、乳酸値、肝機能値など、検査を行い、減量、中止する必要があります。

(民医連新聞 第1401号 2007年4月2日)

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