民医連新聞

2007年4月16日

乳児細菌性髄膜炎に有効 Hib・肺炎球菌ワクチン ―「公費で定期予防接種」の署名を―

:患者はどのくらいいるのですか?

:インフルエンザ菌b型(Hib=ヒブ)は、冬に流行するインフルエンザウイルスとはまったく別の病原体でこちらは細菌です。なかでもb型(ヒブ)は病原性 が高く、小児の細菌性髄膜炎の約六割がこの菌によって起きています。日本では、推定で少なくとも毎年、五歳未満の人口一〇万人当たり八~九人がかかってい ます。年間に推計約一〇〇〇人です。ヒブが起こす細菌性髄膜炎は予後が悪く、五%が死亡し、二五%に聴覚障害やてんかんなどの後遺症が生じます。さらに最 近、薬剤耐性化したヒブが出現し、難治化が指摘されています。

:ヒブワクチンの効果は?

:効果は実証されており、一九九八年にヒブワクチンを導入したデンマークでは、それまで数十人いた髄膜炎患者が年間〇~一人程度に激減しました。
 世界保健機関(WHO)が、一九九八年に定期予防接種を推奨し、各国で導入が広がりました(注)。現在、開発途上国を含めた世界の一〇〇カ国以上で使わ れています。導入した国では、Hib感染症は稀になっています。日本では承認が遅れ、親の会や日本小児科学会が早期承認を求めてきました。

:ヒブワクチン接種の費用は?

:一月に製造承認されましたが、当面は「任意接種」になるでしょう。費用は、通常は四回接種で三万円程度と考えられます。負担が重いので、誰もが受けられる ようにするには、公費で行う「定期予防接種」に組み込むことが求められます。当面何らかの費用負担軽減が必要です。ヒブワクチンでかなり確実に予防できる ので、早急な対策にむけ運動していきましょう。

:肺炎球菌ワクチンについては?

:肺炎球菌もヒブと同様に、乳幼児に重症感染症を起こします。肺炎球菌による髄膜炎では、死亡率が約一〇%にもなっています。従来の23価肺炎球菌ワクチン よりも効果のすぐれた7価肺炎球菌ワクチンができ、米国では実用化されています。日本では治験中です。このワクチンの早期承認・導入も実現させることが必 要です。
 細菌性髄膜炎のうち三割は肺炎球菌によるものですから、二つのワクチンで細菌性髄膜炎の大部分が予防できます。細菌性髄膜炎から子どもたちを守るため に、これらのワクチンが公費負担で、定期予防接種できるよう、今後も署名や要請行動をすすめたいと考えています。署名用紙は下記URLからダウンロードで きます。詳しくはリーフレットで。
※大阪・耳原総合病院の武内一医師(小児科)も発起人です。

署名送付先
  〒537-0025 大阪市東成区中道3-6-8-201
    「細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会」署名集計係 あて
    メール changeforgood-4-1-11@r8.dion.ne.jp
    URL http://www.k4.dion.ne.jp/~zuimaku/

(注)本ワクチンは一回目を生後六週に接種し、二~三回目は四~八週の間隔で行う。生後一年を超 える未接種児は一回接種でよく、二歳を超えると、接種の重要性はあまり大きくない。ワクチン導入時に、一二~二四カ月の児を対象にキャッチアップ接種を行 うと、Hib感染症の発生をさらに減少させることが可能。多くの先進国では一歳代の児に追加接種を行って効果がみられるが、接種は一二~一八カ月に行うべ き。年長小児や成人でも、HIV感染者、免疫グロブリン欠損者、造血幹細胞移植を受けた者、悪性腫瘍で化学療法を受けている者、無脾症者など、侵襲性 Hib感染症の高リスク者は一回接種を受けるべきである。
(WHO,WER,81,No.47,445-452,2006)

(民医連新聞 第1402号 2007年4月16日)

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