医療・福祉関係者のみなさま

2010年9月6日

熱中症 生活保護でもクーラーを 東京・健友会が中野区との懇談で要望

 熱中症による死者が東京二三区で一〇〇人を超え、ほとんどが屋内で、約四割が夜間に亡くなっています。健友会は八月三日、「緊張感をもって熱中症を出さないまちづくりを」と中野区に七月末に提出した要望書に基づき、懇談しました。
 健友会は困難事例を挙げながら、緊急の課題として、認知症など危険度の高い独居高齢者などを訪問し、安否確認や室温測定・冷房の有無など生活状況を把握 し、熱中症予防のパンフを配布し、よく説明することなどを要望しました。

生保「個別に判断」

 懇談では、現在の生活保護制度では「クーラーは生活必需品」との位置づけがない点も議論。その 中で、中野区は「長期入院患者が退院した場合、必要不可欠と認められたときは、家具什器費の基準額の範囲で、暖房器具を支給してよい」との通知等を生か し、クーラーを設置した例も挙げ、「相談があれば個別に判断している」と発言しました。

「転居」活用しクーラー

 中野共立病院の患者で生活保護の六〇代男性は、クーラーつきの部屋に転居できました。患者は進 行性の難病で体力がなく、同院のSWが「退院後、クーラーのない部屋では生活できない」と考え、「病気のため歩行が不安定で二階から一階に転居することが 必要」との理由もあげて区と相談。住宅扶助の範囲内でクーラーつきの部屋に移りました。同SWは「ヒートアイランド化する都市では、夏季加算や一時扶助で クーラーの設置費用を出すべきです」と話しています。
 健友会の診療所では熱中症対策として、独居や気になる患者に緊急の電話かけや訪問を行っています。

熱中症計もって訪問

 健友会と共同する東医研の八薬局では、服薬指導訪問の際、熱中症予防の助言も実施しています。七月末からは携帯型熱中症計を持参しています。
 青葉調剤薬局では八月中旬までに三三軒で危険度を判定しました。「厳重警戒」が五軒、「警戒」が二七軒、「注意」が一軒でした。全世帯クーラーはありま したが「故障し冷風が出ない」「足が痛くなるから使わない」という家もあり、助言をして回りました。
(塚本晴彦・健友会本部)

 (民医連新聞 第1483号 2010年9月6日)

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