民医連新聞

2007年5月7日

私たちの願い参院選へ 与野党政策くらべ(1) 政治を変えよう 平和と人権まもる社会へ 「医師・看護師ふやして 安全でよい仕事を」

「医師・看護師を増やして」は私たちの切実な願いです。民医連は各地で病院関係者や患者さんに呼びかけ、シンポジウムにとりくんでいます。「日本の医師は絶対数が足りない」の訴えはマスコミ報道もされ、国会で取りあげられ、世論になってきました。
 「看護師を増やして」署名も民医連目標一〇〇万筆を達成(全国では一〇〇〇万筆超)。昨年の国会で請願が採択されました。
 この不足状態の原因は何でしょうか? 政府が数十年来、特に病院の診療報酬を抑制、引き下げ、「医師を増やせば医療費が増える」と医師養成数を抑えてき た結果です。病院は十分な人員を確保できず、医師や看護師は過重労働を余儀なくされ、患者満足度や安全・安心が損われています。
 「医療費を抑制する」政策はもう限界です。夏の参議院選挙では、医療費抑制をやめ、十分な予算を確保して対策を取るよう、国の政策転換を求める一票を投 じましょう。各政党がどんな政策を出しているか、公表されているマニフェストなどを検討しました。
 医療費など社会保障の財源を、どうするかも大問題。ムダな大型開発や軍事関連費、大企業や高額所得者の優遇税制や消費税についての政策をチェックしましょう。

日本のナースは忙しい

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医師は国際水準に14万人足りず
(偏在でなく絶対数不足)

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抑制にストップ
医療費の抑制が原因

「医療の需要は、科学技術の発展や長寿化などの要因で生み出されるもので、医師がつくりだすものではない」。東北大学教授の日野秀逸さんの指摘です。日本は、このような低い医療費水準で、先進国といえるのでしょうか?

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民医連の要求
(第37期第15回理事会決定から抜粋)

  1. 医療費をGDP比10%まで増やすこと。安全・安心の医療のために、診療報酬を引き上げること。
  2. OECD平均並みの医師数へ養成を急ぐこと。看護師を大幅増員し、就労条件を改善すること。

 

「過剰」と言う与党

 一貫して「医師・看護師が増えると医療費が増える」という立場を取ってきました。
 1982年には「医師数の抑制」を閣議決定しました。その後は医師過剰論まで持ち出し、医師養成を抑制しました。昨年7月の「医師の需給に関する検討 会」でも「医師は充足の方向にある」とし、医師の「偏在」だけを問題にし、「絶対数の不足」とは認めていません。
 だから、対策は「偏在」の解消が中心。今年度に一部の都道府県で認められた医学部の定員増も、将来分の「前倒し」で、後で定員を削減するつもりです。
 最近は「少子高齢化で医療費が急増する」と宣伝し、さらに医療への国庫負担を抑制しようとしています。

 

野党は「不足」で一致

 「すべての都道府県の医師数がOECD加盟国の平均を下まわる」(共産党)、「日本の医師数は先進諸国の中で最低水準」(社民党)、「先進諸国の水準では、日本の医師数は全体で10万人不足」(民主党)
 野党の見解は「医師は偏在でなく、絶対数が不足」で一致。
 原因についても、「日本の医療費水準は先進7カ国中6番目に低い。そして医療費の自己負担は7カ国中で一番高い」(社民党)、「医療費削減のために医師・看護師の養成を抑制してきた政府の失策」(共産党)、「財政的観点からのみ医療費を削ろうとする政府の姿勢」(民主党)と、医療費抑制策にあったと指摘しています。
 対策については、(1)実態に見合った医師需要を把握し、養成数を増やし、適切に配置すること、(2)高薬価・高額医療機器にメスを入れ、技術・労働時 間・人員配置を適切に評価する診療報酬制度に改革する、(3)医療従事者の労働条件を改善し、医療の質と安全の向上をはかる、と方向は共通。

その財源をどこから出すかで違いが

 医療費抑制を打開するには財源が必要。どこから生み出すかで、違いがありました。
 共産党社民党は、「ムダな大型公共事業の見直し、軍事費・思いやり予算の削減、米軍再編への3兆円負担の中止などで生み出す」としています。また、「研究開発減税や証券優遇税制の延長などの大企業や高額所得者への減税を中止」(共産党)、「所得税や法人税の累進税率を下げる前の水準に戻す」(社民党)などです。消費税の「福祉目的税化」や税率アップに反対の立場です。
 一方、民主党は、「談 合、天下りなどのムダづかい体質の一掃、旧来型公共事業の削減、公務員の人件費の縮減」でつくる。軍事費削減にふれていません。また、所得税の大企業優遇 税制や累進制が下げられた税率は問題視していません。逆に「法人税率も当面維持し、研究開発、環境対策に対する減税は逆に拡大し恒久措置にする」。さら に、「消費税は福祉目的税化。引き上げは慎重に」という立場です。「国際競争力の強化」策として、新型の大型公共事業や軍事費、大企業・高額所得者の優遇 はそのままです。結局は福祉目的を理由にした消費税の値上げで生み出すのでしょうか?

(民医連新聞 第1403号 2007年5月7日) 

 

 

 

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