いのちと人権を守る

2007年5月21日

地域で医療を守る(10) 地域の4病院が協力し看護師の再就職を支援 神奈川県横浜市鶴見区

 神奈川県横浜市鶴見区では、汐田総合病院をふくむ四つの病院が協力して、看護師の再就職を支援するセミナー「看護現場、ちょっとのぞいてみませんか?」を実施しました。参加者からも好評で、企画した看護幹部たちは、共同のとりくみに確信を強めています。

 発端は、市内に中核病院が移転して来ることになり、〇六年春から四つの医療機関が連携の検討をはじめたことです。
 看護幹部が会議の席で会うたび、看護師の確保、育成で意見を交流。「区内の看護師が流出しないよう協力しよう」と一致しました。潜在看護師に、多様な働き方のできる場を提供する必要についても、思いは同じでした。
 実施が四月一九~二一日に決まり、区の協力で広報で案内しました。内容は、オリエンテーション、病院見学、技術体験、交流会とまとめです。とくに体験に は、現場の看護師(教育担当・主任クラス)が指導に付き、充実させました。参加しやすいよう、全日程でなくても可、時間は一〇~一五時にしました。

カムバック意欲が高い

 参加者は一〇人で、九人が三〇代、一人が四〇代でした。感想には「四つの病院を見れ、よかっ た」、「一人で来るには敷居が高いが、たくさんいたので気楽で楽しかった。広報に載ったので来やすかった」「パート採用も柔軟とわかった」「看護記録など も体験したい。記録の実物を見たい」「最新の機器・器具を見られた」「研修会などの情報がほしい」「同じ立場や想いの友だちができてうれしい」などです。
 一方、「家庭優先で働きたい」「子どもの迎えのため九時から一四時まで」「子どもが病気になった時に不安」なども出ました。
 そして終了翌日、さっそく二人から応募がありました。
 企画を終え、「長く働き続けられる環境づくりが必要。将来を見て確保につなげたい」というのが四病院の看護幹部たちの実感です。

共同で生まれる可能性

 今後、五月にフォローアップを、七月に第二回目を実施する予定です。一法人や民医連だけではで きないことも地域の医療機関が集まると可能になります。患者の紹介だけでなく看護師の紹介、研修、確保でも助け合うことができる、研修施設や認定看護師な どの存在は地域の財産だ、と感じました。
 また、雇用や給与体系などを柔軟に研究しなければ、と考えさせられました。現場でフルタイム・夜勤にがんばっている看護師の仲間として働いてもらうに は、再就職を何がなんでも常勤でと考えずに、条件づくりや工夫が必要です。しなやかな発想を育て、大変さだけでなく、働き続ける方法・夢も分かち合いたい と思います。(小田明美、汐田総合病院・看護部長)

(民医連新聞 第1404号 2007年5月21日)

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