民医連新聞

2007年6月4日

記者の駆け歩きレポート(13) 看護輝かすランチョンセミナー 奈良・平和会

 看護大運動では、各地で様ざまなとりくみが生まれました。奈良の平和会では、月一回ランチョンセミナーを続けています。「看護のすばらし さ、やりがいを共有しよう」と、労働組合と共同でひらく事例検討会。四月二五日の第一二回を聴きに、吉田病院を訪ねました。同院は、奈良新聞の連載「きら り看護」でも話題になっています。(小林裕子記者)

各事業所の事例を検討

 午後一時。受付で弁当を受け取り五〇人ほどが席に着きました。
 一例目は「メンタルクリニックとしての訪問看護の一事例」。きたまちクリニックの師長、岩井美和子さんの発表です。夫と一人息子が死亡し、嫁と孫二人と 同居の六〇代の統合失調症の女性。生活リズムや習慣の違いから、嫁が体調を崩し、小学生の孫に問題行動が出てしまい…。看護師と精神保健福祉士は、女性と 嫁の悩みを聞き、励ましています。
 約一〇分の報告が終わり、司会に促され発言が次つぎに。「施設入所の対象でしょう」「デイの利用は?」「家族の意向は?」などの中で、「夫の遺志を守り たい嫁の思い、中学生の孫の祖母への同情に配慮しながら、障害者生活施設の入所の方向」が検討課題に浮かびました。
 二例目は「在宅で亡くなった患者・家族への関わり」。いこま駅前クリニックの師長、日下球枝さんの発表です。
 少ない人員体制の中でも、緊急の往診の手配をしたり、診療前にモーニングケアで訪問看護を行うなど、一人ひとりに合わせた細やかな配慮が伝わってきま す。看取りの後、家族の話を聞くことも大切にしていました。在宅で看取った一〇家族に対するアンケートでは、ほとんどが「不安が大きかったが在宅で看取っ てよかった」という回答でした。
 これにも活発に手があがり、「マニュアルはありますか」「家族にも看護師にもフォローが大切」「よくやってますね」など、経験談も混ぜた真剣な意見が交わされました。
 新人に感想を聞いてみました。「悔いの残らない死について考えた。病棟でも同じ。奥が深い」と池尻久美子さん。「他の部署の様子がわかり、看護師の気持ちを高めると思う」と十河優子さん。

キーワードは「共有」

 セミナーの主催は「ナースほほえみたい」。法人と労組でつくる看護改善大運動推進本部です。「忙しい夜でなくランチを食べながら」という発案が当たり、すっかり定着しました。
 看護師長会も賛成。「疲れて、よい看護ができていない?」「大変でもやっているよね」「自信をもたなくては」「現場の事例で語り合う場にしよう」と、年間計画をたて率先して発表も担いました。
 佐々木美恵子看護部長は話します。「しんどいこと、やりきれたことを共有する大切な場。気軽な意見交換の中で、民医連の看護やチーム医療を振り返るきっ かけになります。まず師長が語って良かった。次の課題は若手の発表と参加者を広げること」。

看護を語る師長たち

 看護確保担当の事務職員、村元幸子さんは「師長も看護師もみんな元気。看護を語り出したら止まりません」と、「奈良新聞」の連載「笑顔のままで きらり看護」のエピソードを教えてくれました。吉田病院の看護師一二人が毎回思いや民医連を語ったエッセイです。
 「看護の日に広告を出して」と売り込みに来た若い女性記者に対応した佐々木さんが、看護の現状を語りました。感動した記者が社内の企画会議に提案したのです。
 インタビューで記事をまとめた村元さんと看対事務の柴田なおさん。「あふれるように言葉が出て、とても八〇〇字に収まらない。看護が好きだという看護師の思いを伝えたかった」と話します。
 佐々木さんもまた、「どこでも語らなきゃ」と心を強くしました。友の会で、地域の「新婦人の会」で、語る場が広がっています。

(民医連新聞 第1405号 2007年6月4日)

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