民医連新聞

2007年6月18日

私たちの願い参院選へ 与野党政策くらべ(3) 軍隊もつ社会は健康を大切にするか?

憲法9条・25条で守りたい命・くらし
「戦争できる国づくり」すすめるのは誰か

 政府・与党は、憲法違反の「戦争できる国 づくり」をすすめています。米国の海外戦略に同調し、自衛隊を再編強化、国民や自治体に協力を強制するしくみづくりです。国会では悪法を十分に審議させ ず、矢継ぎ早に成立させてきました。在日米軍はすでに日米安保条約の枠組すら逸脱し、自衛隊は憲法九条の歯止めがなくなれば、すぐにでも暴走する勢いで す。参院選は「憲法問題」が争点に。九条を変えさせないための政党選びが大切です。

軍国化へ暴走する 与党

 自民党は、国民投票法の成立によって、二〇一〇年に国会で改憲を発議し、同年秋に国民投票を実 施するという改憲スケジュールを作成しています(「自民党の憲法審議会および国民投票法にかんする特命委員会」中川昭一委員長)。安倍首相は、憲法解釈を 変更し、集団的自衛権行使を容認することも追求するとして、明文改憲との両面で「米国の戦争に参加する道」を突きすすもうとしています。
 公明党は、看板に「平和の党」を掲げながら、自民党をささえ、悪法成立の積極的な推進役になってきました。自衛隊のイラク派兵でも、神崎武法(当時)代 表がサマワを訪問し「治安は安定」などと正当化しました。看板と行動が一致せず、九条改憲・集団的自衛権も容認の立場です。

歯止め問われる 野党

 日本共産党は戦前から一貫して「侵略戦争反対」の立場です。「将来は日米安保条約を解消し、独立平和の日本をめざす」政策です。米軍再編、基地強化に反対し、各地の住民運動を支援しています。
 社民党は、「頑固に平和」を掲げ、集団的自衛権を認めていません。日米安保条約は、平和友好条約に転換する政策です。
 民主党は、「日米安全保障条約を引き続きわが国の安全保障政策の基軸に」という立場です。また憲法九条については、党内の意見が分かれ、「創憲」といい 改憲を否定しません。基地は「整理・縮小・移転の推進」で、国連平和維持活動には憲法の枠内で参加を認めています。教育基本法案や国民投票法案などで対案 を提出し、細かい点で自民党と駆け引きしています。

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世界で戦争するための米軍再編

 「地球規模に広がった挑戦に対処」する、世界のどこにでも跳躍できる「地球軍」づくりが「米軍 再編」です。米国は日本に、英国を模範にして、同盟国の役割を果たすよう求めています(アーミテージ報告・二〇〇〇年)。日本政府は、日米戦略協議(〇五 年二月)で「共通の戦略目標」に合意、米軍基地の強化、自衛隊基地の使用と合同訓練、司令部の一体化など、「米国の出城」化の危険領域に踏み込みました。
 グアム基地は、米国のアジア太平洋戦略上の最重要拠点。「自衛隊も使うから」と米国は日本に建設費を要求。しかし、財政法上も違法です。ローレス国防副 次官は、日本側の負担が二六〇億ドル(約二兆九〇〇〇億円)以上と明らかにしました。国民一人当たり約二・五万円の負担です。

自衛隊は「海外で展開」へ

 日米戦略会議(〇五年一〇月)の「合意」により、自衛隊は米軍と協力できるよう再編されています。
  「日米軍事一体化」は政策、計画の調整、情報共有、施設の共同使用など多岐にわたり、日米の共同訓練は〇五年度で、一〇六回、のべ四一六日におよびます。
 イラク派遣で「自衛隊員がクウェートの米軍基地で訓練を受けた」「幹部自衛官が戦地を体験」「機材を試用」「帰国自衛官に自殺者が多い」などの実態が明 るみに。防衛省への昇格で権限が拡大、省令の制定や予算要求が可能になり、自衛隊法の改定で「海外派兵」が本来任務に追加されました。
 陸上自衛隊の情報保全隊が、民医連を含む国民の平和運動を監視していることが発覚し、大問題になっています。

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国民を統制、従わせる

 戦争をするには、国民を強制的に協力させるしくみが必要です。教育基本法「改正」で「愛国心」を強制し、盗聴法など市民を規制する法をつくりました。
 「国民保護法」で、地方自治体に「保護計画」づくりが義務化されました。すでにすべての都道府県が策定し、閣議決定されました。「有事」で、住民には 「避難・退去」が強制されます。また「国民保護訓練」は、各地で行われています。沖縄県が「米軍基地内への避難や通行」を要求したところ、内閣官房は「有 事には基地が標的になり、より危険」と答えたと報道されています(沖縄タイムス)。
 参考資料:『平和運動』06年3月~07年4月各号(日本平和委員会)

(民医連新聞 第1406号 2007年6月18日)

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