民医連新聞

2007年7月16日

相談室日誌 連載243 在宅復帰の連携プレー 後藤 由衣子

Aさん(八〇代・男性)のご家族から退所希望が出たのは、入所して四カ月ほどたったころでした。脳梗塞を発症し、入院と入所生活を一年半あまり送ってきたAさん。家族は初めて在宅介護を決意したのです。安心して在宅復帰ができるよう、私たちは準備しました。
 ご家族への介護指導は、ケアマネジャーと担当介護職員が行い、退所前には療養棟職員、作業療法士、理学療法士、居宅ケアマネジャーが自宅訪問しました。 管理栄養士が栄養相談を実施し、支援相談員は看護師と家族といっしょに、主治医から在宅療養の説明を受けました。ほかにオムツ支給、特別障害者手当などの 各種制度を紹介しました。
 また「退所前合同面談」として、ご家族、療養棟職員、支援相談員、居宅ケアマネジャー、退所後に利用するデイケアの職員とショートステイの生活相談員、 看護師が集まり、Aさんの状況やご家族の思いを共有し、今後の対応について話し合いました。
 ご家族の介護を受け、最初は恥ずかしそうにしていたAさんでしたが、最終的には自宅外出を試行し、無事に退所日を迎えました。これからは、自宅での生活を援助していきます。
 当相談室は、老健施設の支援相談員、居宅介護支援事業所のケアマネジャー、併設短期入所生活介護の生活相談員が同じ部屋で仕事をしています。そのため、 各職種が情報を共有し、入所から自宅へ退所するまでの支援、また、退所後は相談窓口として利用者やご家族の要望に即座に応えることができます。毎日いつで もスムーズにカンファレンスができます。
 しかし、老健に入所される利用者は重度化し、看護・介護量が増えつつあります。そのため入所期間が長期化し、どう援助していくか、試行錯誤している毎日です。
 いま、厚生労働省がとる療養病床廃止路線の中で、老健施設は「転換型老健」や「新型老健」と基準緩和の動きがあり、あらためてその役割と機能が試されて います。しかし、必要なことは利用者とご家族に寄り添った相談活動と、現場から症例を通して、あるべき介護の姿を発信することだと思います。

(民医連新聞 第1408号 2007年7月16日)

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