民医連新聞

2007年9月3日

地域で医療を守る(14) 「福岡ナースウェーブの会に賛同を」 県内75%の病院に申し入れ、35%と懇談 福岡

 福岡民医連は医労連に呼びかけ、県内の公・民間一八病院と一団体(看護を良くする会)の看護師有志を呼びかけ人として、「福岡県ナースウエーブの会」(以下「会」)を立ち上げました。いま、県内全病院を対象に訪問・懇談を続け、協賛を広げています。

 医労連などと実施した〇六年二月一九日の「天神大宣伝行動」では、五三〇人の白衣のパレードがマスコミに注目されました。これを機に県内すべての看護師が参加できる常設の運動体として「会」をつくりました。事務局には若い看護師も加わっています。
 県内の全四四〇病院(施設)に「会」への賛同を申し入れ、看護師確保情況や離職防止策、医療制度などで懇談をすすめています。
 八月中旬までに申し入れた施設は三三〇、懇談は一四八施設、賛同は四〇施設(民医連加盟を除く)、賛同看護師数は七七三〇人になりました(県内の病院就 業看護師の一六%)。大病院から中小病院まで幅広い共感が得られ、賛同署名に応じない医師会系や公立病院も「趣旨には大賛成」でした。

地方が厳しい看護師不足

 懇談の内容をまとめると、看護師の確保は六七%が厳しく、特に〇五年から厳しくなっています。 県内外の看護学校訪問などを強めても、「応募がまったくないなどかつてなかった」という声もありました。特に地方が苦戦しています。厚労省の「第六次看護 師需給見通し(〇六年~一〇年)」については「見直すべき」との答えがほとんどでした。
 どの施設も苦労して看護師の確保、定着、離職防止の工夫をしています。多かったのが「看護が魅力ある働きがいのある職業と実感できることが定着につなが る」という意見でした。教育研修やプリセプター指導に力をいれています。次に多いのが院内保育所です。「近隣の病院と連携して二四時間保育所を設置した」 「採算的に設置を断念した」「援助があれば導入したい」の声がありました。

厚労省は現場がわかってない

 看護師と医師不足による病棟閉鎖(病床削減)が四施設、無床化が二施設、県立から財団法人へ委譲二施設など、まさに地域医療が崩壊の危機に立たされています。
 多くの病院長が、療養病床の施設転換を望まず、住民の命をささえる自負を語っていました。
 行政に対する要望も出されました。看護師養成校の確保や定着、再就業支援、保育所などへの財政支援です。また院長や看護部長の多くが「低すぎる診療報酬 を解決すべき」と指摘し、国の医療費削減政策を問題にしていました。
 「在宅に戻せない患者の存在など、現場を厚労省はわかっていない」との憤りの声もありました。
 聴き取り結果は、八月に中間的にまとめ冊子にし、懇談した施設へ報告します。また九月一八日に記者会見で発表する予定です。
 いま、九月県議会に向け「会」独自の請願署名(看護師需給見通しの抜本的見直し、県単独の看護師離職・定着対策として、保育所や民間の再就業セミナーに 予算措置を、など四項目)にとりくんでいます。署名がどんどん届き、確信になっています。引き続き病院を訪問し、来年の一月一九日に一周年と総会を兼ね大 集会を実施する計画です。
(内藤美弥子、ナースウエーブの会事務局)

(民医連新聞 第1411号 2007年9月3日)

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