民医連新聞

2007年10月1日

’07全日本民医連 病院長会議 地域の医療守りぬく 民医連病院の力発揮

 全日本民医連は、病院長会議を九月一五~一六日東京で開き、約一八〇人が参加しました。
 医師不足の深刻化、激しい看護師獲得競争、療養病床つぶし、病院倒産・廃業など、医療の危機が進行しています。これに民医連の病院がどう立ち向かい、住 民とともに地域医療を守るか、病院戦略づくりに必要な情報を共有することが目的でした。
 特に「医師・看護師増やせ」の運動で切り開いた情勢、厚生労働省がねらう医療供給体制の方向、〇六年度の経営報告などを踏まえ、指定報告などを受けて議論しました。

 鈴木篤副会長が、〇六年一一月「民医連病院経営管理者交流集会」の問題提起を基本に、補強点を提起しました。
 新たな提起は次の諸点です。
 ドクターウエーブなどで「医療費抑制を続ければ医療が崩壊すること」が国民に知られてきました。後期高齢者医療制度の凍結や障害者自立支援法の見直しな どで、野党が臨時国会に新たな提案をする可能性も出てきました。患者負担を引き下げ、診療報酬を上げる運動を、国民と医療者の共通課題にするチャンスが訪 れています。
 また「医療構造改革路線」に立ち向かうために「地域」の重視をあらためて提起しました。
 一つは「後期高齢者医療制度」「地域ケア整備構想」「地域医療計画」などで、自治体に向けて住民運動の一員として発言するとともに、事業所の担う機能を 広げていくことです。二つめは、地域で医療・介護・福祉のネットワークを形成し、経営を守ること。三つめは、医師はじめ看護師、介護職など、後継者を地域 で育てることです。
 中小病院の展望を切り開く課題も強調しました。大切な役割を担っている一方、一番困難な状況に置かれています。「中小病院をもつ法人は、医療系・介護系 だけでなく、居住系も考えに入れ、ポジショニングとビジョンを練り上げ、決断、実行することが重要」と提起しました。

焦点は中小病院

 指定報告は「中小病院の方向と課題」が四題あり、療養病床の転換、回復期リハの運営が焦点になりました。
 「療養病床の価値を再確認し採算を取る努力をしている」みさと協立病院(東京)。「有料老人ホームと二四時間の在宅診療所に転換した」金沢リハ病院(石 川)。「一般病棟を回復期リハに転換し、自宅復帰をめざす」東大阪生協病院。それぞれ自院の地域での位置(ポジショニング)を見極め、地域連携を強めてい る経験です(別項に要旨)。また「回復期リハの実際と成果について」長町病院の水尻強志医師が報告しました。

DPC「役立つ」の評価

 「DPC病院の現状と課題」で二つ報告がありました。
 埼玉協同病院の高石光雄院長が、民医連で初のDPC対象になった三年間の実践について発言。「患者の利益の視点から研究し対策も検討する」立場で参加しての評価でした。
 耳原総合病院の松本久院長は、同じ医療圏の他DPC病院と比較分析し、現状と課題をのべました。両院長とも「請求業務が減少し、今のところ経営的にプラ ス。各職種がDPCを熟知し、役割を発揮することが不可欠」と報告しました。
 また、全国の支援で再建に踏み出した北海道勤医協と川崎医療生協が特別報告しました。

(民医連新聞 第1413号 2007年10月1日)

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