事業所のある風景

2010年1月15日

宮崎/生協クリニックのべおか 組合員の夢がかなって開設

 2009年1月13日、宮崎県延岡市に民医連の診療所「生協クリニックのべおか」が誕生しました。1982年の「延岡に民主診療所を創る会」発足以来足かけ28年、実に四半世紀におよぶ県北の組合員の悲願がようやく実現しました。

医療体制の最も遅れた地域

 延岡市は、宮崎市からおよそ90キロ北に位置する人口13万の地 方都市です。街の中心部を流れる五カ瀬川と大瀬川の豊かな水量に恵まれ、旭化成が事業を展開する工業都市としても有名です。また古くから城下町として栄 え、特に内藤家の「能面」は豊臣秀吉とのかかわりが深く、毎年10月に城址城山公園で開催される「天下一薪能」は、全国の愛好家に広く知れわたっていま す。
 延岡市は現在、宮崎県内でも医療体制の最も遅れた地域となっています。南北に長い宮崎県にあって高速道路のない最北端の都市で、交通アクセスのきわめて 悪い地理的条件が原因のひとつです。かつては人口の6割が旭化成との関わりを持つなかで、旭化成所有の医療機関以外の医療機関が拡大しづらい条件があった ことに加え、1990年代に入って、旭化成の業績不振から所有の4つの医療機関すべてが廃止され、地域医療体制の整備に遅れが生じたという歴史的背景が大 きく影響を及ぼしています。

地域ぐるみの運動に発展している姿が

 2008年1月の臨時総代会でクリニック建設が決まり、2月に 「延岡に医療生協のクリニックをつくる会」改め「建設委員会」が発足しました。県北支部の組合員がコツコツと積み上げてきた組合員数はこの時点で2300 人。結成総会では、これまでの総会にない特徴が鮮明に表れました。建設委員会の建設副委員長に地元3町の区長が名を連ね、歓迎のあいさつでも、「地域のみ なさんと一緒になって医療生協の活動を支えていこう」という、まさに地域ぐるみの運動に発展している「地域の医療生協」の姿でした。
 7月1日の起工式には160人が参列する異例の事態に神主が目を丸くしました。11月に開催された「秋の健康祭り」には、最悪の天候のなか地域の方々に支えられて400人を超す参加者があり、最後にみんなで輪になって「ばんば踊り」を楽しみました。
 こうした行事を経ながら12月まで続く毎月の診療圏訪問行動や、地域公民館での5回の医療講演会すべてに、多くの地域のみなさんと全支部の組合員、全職員が力をあわせて組合員拡大に取り組み、現在では組合員は3000人を超えています。
 なかでも、2009年1月10日の竣工祝賀会は私たちにとって、地域の方々と一緒に医療生協運動を進めることに確信をもてる機会となりました。延岡市長 をはじめ、延岡市医師会会長、市内の開業医から地元3町の区長、民生委員の期待が組合員と職員に向けられたすばらしい祝賀会となったのです。

組合員にとっても大きな力に

 「地域のみなさんと一緒に!」はクリニック建設をきっかけに県北 の組合員にとって大きな力となり、その後の支部活動に飛躍的な効果をもたらしました。クリニック開設後の3月には県北支部から分割し南方支部が誕生。地域 の民生委員と力を合わせて大躍進中です。県北支部は診療圏の訪問行動に不可欠な地域の運営委員の発掘と班会の促進に邁進しています。
 「延岡に民主的な診療所を!」の夢をかなえて開設した「生協クリニックのべおか」は、こうした組合員や地域の方々と職員が力を合わせて、地域に広く活動を展開し、発展していく道を歩みはじめています。
生協クリニックのべおか 事務長  渡辺 公一)

「民医連事業所のある風景」 『民医連医療』2010年1月号.No.449より

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