事業所のある風景

2010年4月15日

岡山/けやき通りメンタルクリニック 気軽に立ち寄れる場に

 私たちのクリニックは、「岡山後楽園」まで徒歩で15分程の風光明美な場所にあります。けやき並木の通りに面し、けやき並木の四季の変化は1年を 通して診療の疲れを癒してくれます。周辺は大学や高校、スーパーやマンションが建ち並ぶ住宅街です。住宅街には林精神科神経科病院を退院した後、デイケア や作業所へ通所しながら暮らしている患者のアパートやグループホームがあります。

開設の決め手は患者のニーズ

 2003年12月に、林病院の門前診療所として「けやき通りメン タルクリニック」は開院しました。クリニック開院の決め手は患者ニード調査でした。調査では林病院の外来は待合室が暗い、狭い、入院患者と外来通院者の動 線が交わる、落ち着かない、軽い症状だから精神病院にはかかりづらいなどの意見が出されました。
 病院の外来機能を門前診療所に移すことにより精神病院に対する偏見が少なくなり気軽に立ち寄れる場となりました。
 クリニックでは、統合失調症、認知症、アルコール依存症、児童・思春期の不登校、発達障害など幅広いメンタル疾患の診療をしています。クリニック開院後、うつ病、ストレス関連障害の患者が増え、臨床心理士によるカウンセリングも行っています。
 2005年からクリニックの2階で小規模デイケアを始めました。コミュニケーションが苦手で自分に自信がもてないひきこもりの患者が多く通院しています。
 デイケア開始後5年になりますが、症状が軽快し作業所やスーパーへ就職した患者もおり、半数の方が社会復帰されています。
 また、障害者自立支援医療制度の利用を勧め70パーセント以上の方が利用されています。
 当クリニックの基本理念は、・気軽に立ち寄れるクリニックをめざす、・癒され安心できるようサ-ビス内容やアメニティに配慮する、・地域の方と協力し、 精神障がい者の医療、福祉活動のキ-ステ-ションになる、・地域文化、メンタルヘルスの向上に貢献できるクリニックをめざす、です。

ジャズと絵画の空間

 建物は吹き抜けの二階建てで待合室には50人が座れます。待合室 は季節に応じて絵画を取り替え、ジャズの穏やかな音楽が流れています。一階には診察室が4室あり、カウンセリングルーム、相談室を設けています。二階には 小規模デイケアができる大きな部屋と調理室があります。

社保活動

 デイケアでは花見や散歩で後楽園に出かけます。その際、入園料が免除されるよう県と交渉し「入園料免除承認」を勝ち取りました。他のデイケア施設にとっても後楽園入園料無料化は朗報と言えます。

訪問活動は再入院防止の鍵

 退院後の病状悪化、再入院を防ぐため、看護師、精神保健福祉士が中心となり、一人暮らし、高齢者世帯を訪問し、病気や生活の悩みなどを聞き、日常生活支援を行っています。訪問活動は病気の重症化を防止する医療活動の柱の一つとして位置付けています。
 長引く不況、先行き不透明な混沌とした現代社会はストレスにさらされ、うつ病などの心のトラブルに悩む人が増え、クリニックは地域の皆さんから期待され ています。しかし、医師不足もあり十分に期待に応えることができていません。気軽に立ち寄れるクリニックをめざし、今後とも一層努力する所存です。
けやき通りメンタルクリニック 事務長 小島 忠)

 

「民医連事業所のある風景」 『民医連医療』2010年4月号.No.452より

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