副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2011年4月18日

副作用モニター情報〈351〉 チャンピックス(禁煙用薬)の副作用に再度注意を

 昨年10月にタバコが値上がりし、禁煙しようという人が増えています。それと同時に禁煙外来を受診する人も増えています。禁煙用薬のチャンピックスを服用する患者が増加しているので、再度注意喚起します。
 チャンピックスは脳内のニコチン受容体にニコチンの代わりに結合して部分作動薬作用(刺激作用と拮抗作用)を示します。この薬の副作用で多いのは、頭 痛・不眠・不安・悪夢・抑うつなどの精神神経系の副作用と、嘔気などの消化器症状、および皮膚症状です。全日本民医連副作用モニターに報告された過去1年 間の集計でも、精神神経系の副作用が18症例(不眠7、異常な夢1など)、消化器症状が25症例(嘔気13など)、過敏症症状が3症例、その他2症例と なっています。計48症例のうち、11症例は投与中止、13症例は減量になりました。
 精神神経系の副作用には特に注意が必要です。不眠・悪夢のほか、抑うつ気分・不安・興奮といった思考や行動の変化などが現れることがあります。これらの 症状はうつなどの精神疾患の既往歴がなくても発症します。精神疾患の既往歴がある人では、再発や悪化の恐れがあるので、投与は避けるべきです。実際に、向 精神薬の服用歴がない患者がチャンピックスを開始し、心療内科の受診が必要になるほどの精神障害を起こした症例がいくつか報告されています。
 禁煙治療ガイドラインには、精神神経症状が出現した場合にチャンピックスを継続服用するのかどうか、対処法が記載されていません。しかし、その場合は服 用を中止し、ニコチネルパッチなど他剤に変更するなどし、禁煙治療を慎重にすすめるべきです。
 また、消化器症状で嘔気の発現頻度が高く、初回服用時に嘔気が出現することを、服薬指導では説明することが必要です。嘔気が出現した場合、嘔気止めの併 用で服用継続できる場合もあるので、その旨を説明し、処方を検討することが大切です。
 そのほか、掻痒感、発疹などの皮膚過敏症状も多く報告されています。いずれの場合も、投与初期、増量時に発症しやすいので、常に患者さんの状態を観察 し、体調変化があればすぐに主治医、薬剤師に相談するように伝えることが大事です。

(民医連新聞 第1498号 2011年4月18日)

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