事業所のある風景

2010年6月15日

奈良/とみお診療所 「診療所は地域のもの」が原点

 とみお診療所は医療法人平和会が住民と力を合わせて建設した初めての診療所です。
 1987年、住民とともに「診療所建設促進会」を発足。場所確保から建設協力債集めまで、住民が職員といっしょになって奔走し、翌年診療所を開設しました。
 建設促進会は後に発足する「平和会健康友の会とみお診療所支部」の母体となりました。
 2001年に現在地に移転したことを機に、とみお診療所在宅介護支援センター、同ホームヘルプステーション、訪問看護ステーションほほえみポートの3事 業所は2階のワンフロアに集まり、診療所とともに「在宅総合ケアセンター」として連携して活動しています。

在宅医療22年

 富雄は、奈良市内の西の端、生駒山を越えて大阪市内まで電車で25分の地域です。元は富雄川流域に開けた農村地帯でしたが、高度成長期に大阪のベッドタウンとして宅地開発が進み、人口が急激に増えました。
 そのころ引っ越してきた人たちが、いま介護や在宅医療が必要な年代になっています。当時開発された住宅地では、65歳以上が25~30%を超えています(奈良市全体では19%強)。
 開設から22年、診療所は富雄地域で在宅医療の歴史を切り開いてきました。現在100人の患者に月200回の訪問を実施しています。

患者・家族の思いを大切に

 「在宅療養支援診療所」の届け出をしたのは、制度スタートから1年遅れの2007年。
 24時間対応はこれまでもやってきたことですが、契約をして利用者に高い負担をしてもらうことになり、これまで以上に丁寧な対応が求められます。
 患者・家族とのトラブルが生じたときは、すぐにお宅を訪問して、患者・家族の思いをくみつくすことを大切にしています。さらに必要に応じて「在宅総合ケアセンター」の4事業所が合同カンファレンスを持ち、問題解決に当たっています。
 最近、在院日数短縮で末期患者や医療度の高い方が地域に増えています。末期患者が外部から紹介されるケースが多くなり、在宅管理件数の1割強が新患の方 です。入院になっても在宅でも、チームとして体の痛み、心の不安をやわらげる「地域緩和ケア」のとりくみを病院と連携してすすめています。

地域の健康づくり

 外来では患者と一緒に「健康づくり年間計画書」をつくって、それに基づく日常医療を行っています。これは・がんの早期発見、・心疾患や脳血管疾患対策で 動脈硬化の把握とメタボ対策、・喫煙習慣対策の3本柱で、患者さんの負担と相談しながら必要な検査や治療を1年間のスタンスで行うものです。
 特定健診になって、健診受診者が当院でも5割減。奈良市は各種健診の自己負担が高いことで際立っています。地域から改善の運動を起こすと同時に、健診と保険医療を結びつけて、地域まるごと健康づくりの提案をすすめていこうと意気込んでいます。

とみお診療所

「民医連事業所のある風景」 『民医連医療』2010年6月号.No.454より

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