民医連新聞

2007年10月15日

9条は宝 発言(30) 25条と9条は車の両輪福祉と戦争は両立しない SW(ソーシャルワーカー)9条の会

 生存権を守り、生活の問題を解決していく私たちソーシャルワーカー(SW)にとって、大切な憲法二五条は戦争を放棄した九条と切 り離せません」 。改憲をくい止めたいとの思いから全日本民医連SW委員が呼びかけ人となり、今年三月に「SW九条の会」を立ち上げました。全国の民医連SW六三〇人に、 賛同を呼びかけています。

生活保護の実態

 「毎月一〇日間は残り物を食べてしのいでいます」。生活保護を受給している七〇代の女性は、一〇年以上も切りつめた生活をしています。
 〇六年度から生活保護老齢加算(一万五〇〇〇~一万八〇〇〇円)が廃止されました。生活保護制度が次つぎと改悪され、「生活が成り立たない」と全国各地 で不服申し立てがあい次いでいます。政府はその上まだ、来年度の予算で生活保護費を四〇〇億円も削減する計画です。
 憲法二五条で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」をあらためて問い直そうと今年の六~七月、民医連のSW全員で「老齢加算廃止後の生活実態調 査」をしました。四〇〇人から聴き取りました。まとめをして、廃止の取り消しを求める運動や生存権裁判を支援するために役立てるつもりです。
 調査の中で「冷蔵庫が壊れていても買い替えができない」「洋服も買えない」「友だちや親戚と付き合えない」「香典が出せず、お葬式に行けない」などの声 を多く聴きました。当たり前の生活ができず、気持ちのゆとりや人間関係も奪われているのです。
 なぜ政府は、これほど社会保障費や医療費を削っているのでしょうか。「高齢化社会」などは口実にすぎません。アメリカのように弱肉強食の社会をめざし、 軍事関係の費用は惜しまず、アメリカの戦争に荷担しようとしているからです。

大きな分かれ道

 そもそも戦争の準備と国民の生活の向上を両立させるなんて、できるはずがありません。それに戦 争になれば、人権も何もありません。戦争する国は人間らしい生活と権利を圧迫します。憲法九条の「戦争と軍隊の放棄」が土台にあるから、国民が安心して生 活できるのです。憲法二五条と九条はお互いになくてはならないもの。車の両輪です。
 日本にとって憲法九条は「平和主義」の証です。その九条が大きな岐路に立たされています。「戦争をせず、戦力を持たない」と決めた九条を変え、「戦争を しない国」から「戦争のできる国」へ変えられようとしています。改憲は、私たちSWにとっても「福祉か戦争か」の大きな分かれ道です。

命が何よりも大切

 私たちは戦後に生まれ、「平和憲法をもつ日本は戦争しない」と当たり前のように思って生きてきました。憲法が変われば、日本が常に戦争に巻き込まれることは明らかです。子どもたちはそんな安心のない中で教育を受け、成長していくのです。それはおそろしいことです。
 平和を守らないと、患者さんの健康や生活も守れません。民医連のSWは「平和と憲法を守り、活かしていく役割を果たしたい」という思いをみんな持っています。
 現在、「SW九条の会」の賛同者は二〇〇人に広がりました。寄せられる署名には「平和があるから人の命が守られる」「武器では何も解決しない」「戦争す るのも止めるのも人間の力」「憲法を守るSWであり続ける」と、自分の思いを寄せてくれています。民医連SW全員の賛同を目標にしています。
 そして、人間の命が何よりも大切にされる社会にするため、民医連の枠を超えたSWの仲間にも呼びかけ、「SW九条の会」を広げます。

(民医連新聞 第1414号 2007年10月15日)

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