民医連新聞

2007年11月5日

第三者機関 医療事故の再発防止・患者救済もとめて(4) 全日本民医連第三者機関プロジェクト イギリスの第三者機関(2)

 英国視察で、医療事故防止に警察の懲罰的対応は解決にはならず、公正中立な第三者機関の設立と、国家的なとりくみの必要性がわかりました。既報のコロナー制度(死因究明制度)も改革されています。

 英国では九七年のブリストル事件が医療の安全性を見直す契機でした。ブリストル王立小児病院が 八八~九五年に行った心臓外科手術で死亡事故が多発した、と新任麻酔科医師が告発した事件です。この間コロナー制度はあっても機能せず、医師の審査・処分 を行う中央医師評議会(GMC)も発見できませんでした。
 九八年に特別調査委員会ができ、〇一年に最終報告書を出し、コミュニケーションやチームワーク不足、リーダーの不在を指摘し、外科治療の標準化と研修・ 訓練、情報公開などを高め、医療事故を評価する機関の設置を勧告しました。
 これに基づき、様ざまな診療ガイドラインが作成され、第三者機関が設立されました。〇四年に創設された、病院を評価する病院評価監視機構(HC)には、 これまでに内部告発などが一一九件あり、五件を調査、七つの報告書が出ています。
 英国ではサッチャー政権の医療費抑制政策で医療が崩壊し、医療費増と国民保健サービス(NHS)改革が課題でした。〇二年からブレア政権は、公的医療費を増額、第三者機関の設立をすすめました。
 一方、日本では、同時期に医療の安全が問題になったのに、医療費抑制政策が続き、差が開いています。

(民医連新聞 第1415号 2007年11月5日)

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