民医連新聞

2007年11月5日

民医連診療所 医師を育てよう 第2回 診療所活動交流集会

 全日本民医連は、一〇月一三~一四日、大阪で第二回診療所活動交流集会を開催。診療所の実践とポジショニングを交流し、診療所の 今日的役割を確認し、診療所を担う医師養成方針について討議しました。病院からの参加もあり、参加者は二二八人。医師が五一人、看護師が七二人でした。

 小西恭司・全日本民医連副会長が、「どこの診療所もかけがえのない歴史がある。それをふりかえり、診療所のポジショニングを共同組織といっしょに定めてほしい」とあいさつ。
 堀毛清史・診療所委員会委員長が問題提起を行い、疾病構造や医療技術、医師養成の変遷から、診療所の位置づけが「小さな病院」から、新たな「地域におけ る医療連携の要」に変化してきた、と説明。「地域を分析し、地域の健康を守る戦略を検討し、その中で連携のため診療所が果たす役割と主体的力量を考慮し、 方向を明らかにしましょう」と強調しました。
 また、診療所の役割変化に応じ、医師養成方針も再検討が必要とのべ、(1)研修診療所をつくる、(2)「家庭医学センター」などを病院内に設け、診療所 の医師養成を行う、(3)診療所の医師養成をテーマに交流会・学習会を開催する、(4)診療所の実践や医師養成を学会などに発表し、経験を蓄積し自信を深 めることを、新たに提起しました。
 記念講演「高齢化社会と診療所の役割」は、千葉・亀田ファミリークリニック館山の岡田唯男院長。
 指定報告は、(1)病棟を共同住宅に転換したとりくみ(北海道・黒松内診療所)、(2)孤独死発見の痛苦な経験からとりくんだ高齢者実態調査とたすけあ い活動(東京・上井草診療所)、(3)在宅医療の集中化と看取りのとりくみ(京都・仁和診療所)、(4)島根での「出雲家庭医療学センター」立ち上げと、 大曲診療所での家庭医療後期研修プログラムの経験(兵庫・共立病院、森敬良医師)、の四つでした。
 ナイトセッションでは、「診療所の医師養成」と「診療所看護師の交流」が行われました。
 二日目の分科会では、(1)医師養成、(2)医療活動・医療安全、(3)管理運営・経営、(4)共同組織・まちづくりについて、経験や課題を議論・交流しました。

ナイトセッション 診療所の医師養成

 京都・たんご協立診療所の寺本敬一医師(一〇年目)が「診療所のよい点と課題」を、兵庫・本田 診療所の高松典子医師(九年目)が、「地域診断と健康因に注目した活動」を報告。東京・立川相互病院で家庭医・診療所コースを研修中の小松亮医師(四年 目)が、診療所勤務への期待と不安をのべました。
 また、島根・大曲診療所、藤原初美看護師長は、「診療所の目標が明らかで、職員全体ががんばっていることが医師を育てる条件」と発言。和歌山生協病院、 畑伸弘医師(二二年目)が、「病棟医療から診療所に求めるもの」を報告しました。
 若手・中堅・ベテラン医師が、具体的な経験を出し合って、診療所の医師養成のあり方を考えました。

記念講演

亀田ファミリークリニック館山
岡田唯男院長

 高齢者によく見られる認知の問題、転倒、失禁、やせ、めまい、視力・聴力障害は、明確な病名や診断がつかない場合があります。
 こうした機能障害は、がん、心疾患、脳卒中などの疾患と同じくらい頻繁に発生します。そして、障害が積み重なると、日常の生活力が落ち、カゼを引いただけで、急激に症状が悪化するようになります。
 ですから、高齢者は病名のある疾患と同じくらい、生活機能を保つケアが必要です。それには、機能を包括的に評価することが求められ、医師だけでなく多くの職種の協力が不可欠です。

(民医連新聞 第1415号 2007年11月5日)

リング1この記事を見た人はこんな記事も見ています。


お役立コンテンツ

▲ページTOPへ