民医連新聞

2007年12月3日

第三者機関 医療事故の再発防止・患者救済もとめて(6) 全日本民医連第三者機関プロジェクト オーストラリア視察から(2)

オーストラリア・ビクトリア州では、死因究明の機構、裁判外紛争処理、医師の免許登録を行う機関が整備され連携しています。
 コロナー制度をささえる制度には、既報のCLSのほか「国立コロナー情報システム(NCIS)」があります。これは全州と契約し、全国のコロナー情報を集積するシステムです。
  二〇〇〇年七月に発足し、現在までに約一二万件が登録され、毎年二万件の情報が集められます。コロナーで取り扱う事故死、自殺、中毒死、労災死、溺死、医療関連死など、すべての死因情報が集積されます。
 この情報にはIDとパスワードの取得を許可された者だけがアクセス、利用できます。報道関係者は許可されません。データベースには、死因・医療情報ほか 解剖の情報、コロナーの結論、提言なども登録されています。インターネットから同様のケースを検索し、教訓を学ぶこともできます。
 「ヘルスサービス・コミッショナー」(HSC)は、医療に対する苦情の受付と、調停など裁判外紛争処理(ADR)の役割を担う機関です。HSCに寄せら れた苦情のうち調停で解決できず訴訟になった例は、一八年間で一~二件です。ほとんど解決しています。
 苦情は医師免許の登録・更新・処分を行う「医師免許登録委員会」(MBP)にも年間約五〇〇件が寄せられ、HSCと情報交換して対応しています。MBPのモットーは「患者を守り、医師をガイドする」でした。
 「同州では今まで医療関連死に業務上過失致死罪が適用された判例はない」という話が印象的でした。

(民医連新聞 第1417号 2007年12月3日)

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