民医連新聞

2007年12月3日

民医連らしい視点と行動力 学術・運動交流集会 分科会 登録口演324題

 分科会(口演)のテーマは、医療と介護、平和・まちづくりなど多岐にわたり、熱心な質疑が行われました。一端を紹介します。

【教育・働く者の健康】

 「いまさら聞けないオムツ交換の仕方」など、ケアスタッフの技術向上について札幌西区病院から 報告。失敗例の写真や、オムツ疑似体験もしています。フロアと「ビデオを使うと効果的」「オムツ業者も活用を」「正しいオムツ交換は、じょく瘡予防、排便 コントロールにつながる」など意見交換しました。
 労働者の健康破壊の実態については、道東勤医協が実施した炭鉱離職者の健診で、職業病が高い比率で見つかりました。沖縄民医連の職員健診で、喫煙と肥 満、脂質代謝疾患の関連が明らかに。沖縄県の死亡率を上げた要因は「自殺と交通事故」でした。千鳥橋病院では、健診を受けた四〇~五〇代で正規雇用の男性 を調査したところ、残業時間が多いほど健康悪化が見られました。
 アスベスト問題では、造船業の下請労働者の健診(山口)、市民や開業医向け講座を開き、SWも関わる(福岡)、二〇~三〇年経過しての発症例(秋田)、 住民健診で発見(東京)、肺ガン患者の再検討(北海道)などが報告されました。

【平和・まちづくり】

 共同組織強化の報告では、尼崎医療生協が「コミュニケーションカード」を導入しました。これは 機関誌の裏表紙を切り取ってFAX兼ハガキで使えるもの。健診や各種学習会の問い合わせ、申し込みも一元化しました。導入後、班に入らず事業所を利用しな い組合員さんと新たなつながりができました。
 沖縄・美里虹薬局では、日替わり三分間スピーチを実施。全職員が参加するミーティング後、一人が何かのテーマで話します。九日と二五日に当たった人は、 憲法九条・二五条でスピーチをします。「人種差別」「生存権」「民医連新聞の読み合わせ」「障害者自立支援法」など話題は様ざま。職員から「憲法を意識す るようになった」「気軽にできる」と好評で、題材探しや発表も自己学習になっています。

【在宅や施設の介護】

 ケアハウスみと(茨城)では、入居者のタバコによる失火を教訓化。タバコや線香の対策、喫煙者のネームプレートの色を変えるなど、職員の意識を高めています。フロアから「退去の基準は?」と質問があり、「検討したが、やはり最後まで責任をもつ方針」と答えました。
 夫など男性介護者への支援について、福岡から「介護力がなくても妻を家で看たいと希望した事例」の報告がありました。男性は家族のことを話さず、結局、 自身も疲れ、ストレスから暴力につながるケースもあると説明。一時的に妻が入院し、その間に介護手技などを覚えてもらいました。同じ経験をもつヘルパーは 「男性には、こだわりと問題の抱え込みがある。夫にも介護を受ける妻にも社会とのつながりが必要」と発言しました。

【生活相談・経営改善】

 鳥取生協病院では、〇二年から未収金、経済的困難の医療相談が増加。未収金プロジェクトを立ち上げ、事務とSW、医師などが協力し、対応しています。
 埼玉協同病院は一病棟に一人の担当SWを配置。早期に患者・家族の問題を把握し、入院から退院まで一貫した支援をしています。
 福岡・たたらリハビリテーション病院では、診療報酬改悪の前後で入院相談の変化を分析。療養の入院希望が減り、リハビリ希望が増加し、在宅・施設から相談が増えました。長期入院が困難になった影響です。
 京都民医連中央病院は、〇二年の細菌検査室の事件を教訓化し、「信頼の回復」にむけ、医療と管理の質、経営の改善にとりくみました。
 経営ビジョンの策定や病院機能評価の受審、倫理委員会の設置などです。〇六年一〇月、「読売ウイークリー」が京都で満足度トップの病院と報じました。

(民医連新聞 第1417号 2007年12月3日)

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