副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2011年11月21日

副作用モニター情報〈362〉 メトクロプラミド(プリンペラン(R)等)による小児の錐体外路障害について

 メトクロプラミド(プリンペラン(R)等)による副作用は、過去1年間で9件報告されている。発疹2件、手のふるえ・筋硬直を含む錐体外路障害は7件であった。いずれも65歳以上の高齢者での発症。今回、小児による錐体外路障害の副作用が報告されたので紹介する。

症例)10歳 女児。47kg
 朝、腹痛、嘔吐あり。近医受診し、プリンペラン錠(R)30mg/日分3で処方された。夕方38℃の発熱あるも1日以内に解熱。2日後の夕方頭痛あり。 舌が口の中で丸まっているのを祖母が発見し、手で3回ほど直す。その3時間後、顔が右側に曲がっているのを祖父が気づく。フラフラと揺れる感じで右側に 回っていた為、救急外来受診。外来では、左側にひっぱられる、左側へ回ってしまう、うろうろと落ちつかないなどの症状。髄膜炎、てんかんではなかった。プ リンペラン錠(R)の副作用を疑い内服中止。翌日、小児科を受診している間に症状は消失した。

 小児へのメトクロプラミドの投与は、急性胃腸炎等の際に鎮吐剤として処方されることが多いが、錐体外路症状が発現しやすいため(特に脱水症状のある時や発熱時)、慎重に投与する必要がある。
 小児用量は塩酸メトクロプラミドとして0.5~0.7mg/kg/日(体重に対応したkg用量の添付文書記載はシロップのみ)で、この患者にあてはめる と23.5mg~32.9mgとなり、投与された30mgは計算上過量ではない。しかし体重の多い小児の場合、代謝機能は年齢相応にも関わらず成人量(あ るいはそれ以上)を投与されることにもなりかねない。
 「塩酸メトクロプラミドの常用最上限量は0.5mg/kg/日、これを超えて使用された場合神経学的合併症をきたしやすい」との文献もあり、添付文書通りの量では多すぎる可能性がある。小児の用量設定に際しては、体重だけでなく年齢も十分に考慮すべきである。
 小児のメトクロプラミドによる錐体外路障害の症状は、眼球上転、口角偏位、舌の突出、頸部後屈、斜頸など、主に顔面と頸部にジストニア反応が現れること が多い。症状の発現には、複数回薬剤投与後24~72時間が多く、一過性の著明な血中濃度の上昇よりも、高濃度の持続が関係しているとの報告がある。内服 中止、補液投与のみで回復している例が多いのも特徴。

(民医連新聞 第1512号 2011年11月21日)

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