事業所のある風景

2011年6月15日

沖縄/沖縄協同病院 急性期病院として発展めざす

新たな施設展開

 沖縄協同病院は1976年に開設し、35年になります。老朽化した病院の建て替えのため、2009年6月に豊見城市から国場川を挟んで、県都那覇市に移転新築しました。
 旧沖縄協同病院365床は、県内の民間病院では最大規模の病床数でした。移転新築計画に伴い、急性期医療を担う沖縄協同病院(新病院)280床と、慢性 期・リハビリ医療を担うとよみ生協病院(旧病院)85床に機能を分離しました。外来診療は新病院で行っています。
 新築の建物は、組合員や患者から「とてもきれい、ホテルのようだわ」と喜ばれています。個室は全病床の約3割80床を設置しました。無差別平等の医療の 象徴ともいえる「差額ベッド料はとらない」は、民医連事業所としての輝きを増し、職員の誇りとなっています。

急激に変化した医療構造とその効果

 那覇市(人口約31万人)を中心に、南部地域(10~15万人)の診療圏で24時間365日救急医療を提供しています。夜間、時間外・休日の利用者が多いのが特徴です。
 急性期医療に特化する中で、医療現場も忙しさが増してきました。旧病院(2008年度)と新病院(2010年度)を比較すると、新入院患者数(月平 均)465人→625人、病床利用率90.4%→97.6%、平均在院日数は19.2日→13.4日へ短縮するなど、数値にも表れています。新たに施設基 準を取得した脳卒中ケアユニットは県内初で、第3次救急の対応も可能です。
 経営活動は、開院した2009年度は経常利益2.3億億円の赤字でしたが、2010年度は赤字を減少させ、改善の見込みです。医療活動の前進と診療報酬改定の影響が根底にあります。

県民の医療要求に応える病院として

 沖縄戦で住民の4人に1人が犠牲になり、復帰後も基地の75%が集中する歴史を背景に、県民所得は全国平均の約7割という状況が続いています。
 県の医療費適正化計画2008(平成20)年の統計資料によると、主な疾患(がん、脳卒中・糖尿病)の入院外の受療率は、沖縄県は最下位であり、逆に入 院受療率は全国平均を上回る状況です。受診を控え、状態が悪化して入院するケースが多いのです。当院でも、心肺停止で救急搬送される方が増えています。
 こうした中で2010年10月から、無料低額診療を開始しました。このことは地元紙でも報道され、地域住民の期待が寄せられています。沖縄の現状に応えるものと考えます。

新たな発展にむけて

 沖縄協同病院は、引き続き救急体制を強化します。地域型救命救急センターに近いものをつくり上げたいと考えます。急性期医療に特化しながら、経営の安定化をはかります。
 また、地域の事業所との連携も重要課題の一つです。地域と一体となって医療活動を展開し、無差別平等の医療をさらにすすめます。
沖縄協同病院 事務長 比嘉 努)

「民医連事業所のある風景」 『民医連医療』2011年6月.No.466より」

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