民医連新聞

2012年3月19日

力を結集し大きなたたかいを 理事会総括報告 総会3日目

 三日間の討議を受け、理事会として総会全体のまとめを長瀬文雄事務局長が報告しました。

953人が発言

 ここ岡山駅前には、岡山民医連のせいきょう駅元診療所が凛と建ち、「歓迎第40回定期総会」との立て看板を掲げています。いつの日か被災した東北の三陸海岸に民医連の診療所、事業所が建つ。そんな状況を、ぜひみんなの力でつくり出していきたいと思います。
 三日間で九五三人が発言しました。前回より二七人多く、それだけ内容が豊かに深められたと思います。総会の最中、厚生労働省で基幹型臨床研修病院指定の 議論がありました。議論の結果、年間新規入院患者数が三〇〇〇件以下であっても、厚労省が適切と認める、あるいは研修医がきちんと育っている病院は引き続 き研修病院として残す方向が打ち出されました。
 厚労省はこの方針について三月二四日までパブリックコメントを募集、三月末に結論を出すそうです。最後まで気を抜かずに、民医連の中小病院でも臨床研修 ができる、地域医療を担う医師は民医連でこそできる、そのことを立証する運動を総会後直ちに起こしましょう。

各県連のとりくみ

 九五三人の発言の中から、いくつかご紹介します。福岡県大牟田市から、地域ぐるみで認知症患者を守るとりくみの報告がありました。これは一朝一夕にできた活動ではなく、先駆的にとりくんできた民医連の米の山病院やみさき病院の実践があったからこそ、と思います。
 日本で一番原発が多い福井の報告もありました。県連は福島原発事故後、徹底して学習しました。職員の八八%が地元の原発を見学し、怒りを新たにし、いま なお苦しんでいる福島の仲間に新鮮な野菜を送り続けています。さらに毎月一一日に、三kmのデモ行進を行っています。三月一一日には、福井として初めて一 〇〇〇人規模の集会が敦賀市で開催されます。こうした変化が、全国各地で生まれています。
 また、長野県豊丘村の介護老人保健施設「はやしの杜」は、一昨年から核兵器廃絶と世界の恒久平和を祈念し、施設の庭で植樹祭を開催しています。二年前は アンネのバラと広島の被爆二世のアオギリを植えました。昨年は長崎のかよこ桜と広島のしだれ柳です。植樹祭には利用者や村長、教育長も参加します。
 長野県は戦前、満蒙開拓団として多くの人がかり出され、亡くなった人が一番多い県です。「県民の心を継いでがんばろう。この施設はいのちを守る施設なん だ」との思いでこの催しを続けています。こうした地道な努力もあります。
 熊本の代議員は、一昨年の水俣病大検診を通じて、多くの水俣病患者が苦しんでいる実態を報告しました。新潟からも同様の報告がありました。こうした状況 にもかかわらず、環境省は今年七月に救済の申請を打ち切ろうとしています。
 被害者切り捨ての動きに対し、一昨年のような大規模な検診を六月に現地で、さらに、全国でやろうとの呼びかけがありました。私たちはこうした積極的な呼 びかけに、仲間の力を結集して、全力でとりくんでいきたいと思います。

民医連マインド

 間もなく三月一一日です。被災地の仮設住宅では孤独死が発生し、いまなお、まともな生活が できずに苦しんでいる多くの住民がいます。福島をはじめ原発による放射能被害で安全を脅かされる、その中で苦しみながら現地でがんばっている仲間がいま す。震災、原発災害を風化させることなく、現地と連携しながら、さまざまなとりくみをすすめましょう。
 いのちを守る医療機関、介護の事業所として共同を広げ、大きなたたかいを組織し、「あの時のたたかいが日本から原発をなくした」と、後世に伝えられるような運動をつくっていきます。
 利根中央病院の糸賀俊一院長から、医師支援の到達について報告がありました。一昨日に上映した支援に感謝するビデオレターでは、「ありがとう」(いきも のがかり)の曲に合わせて支援医師が次々に登場しました。本当に一年間、お互いに苦労したけれども、力を合わせて地域医療を守った。このことを確信にでき たかと思います。
 今後も似たような状況が生じる可能性もあります。福島でも医師や看護師の退職が少なくありません。全日本民医連は県連や地協と連携して、可能な限り支援します。
 昨年一一月の「医療活動・医師養成方針検討会議」で、鹿児島生協病院の馬渡耕史院長が、奄美中央病院の庭にある石碑を紹介しました。そこには「地理的な 離島はあっても、人の生命に離島があってはならない」―。こう書いてありました。
 これは鹿児島民医連の仲間のマインドです。各県連、それぞれにマインドがあると思います。このマインドをさらに大きく広げ、各地の経験に学びながらたく ましく成長し、今日の時代を切り拓く主体者として力を発揮しましょう。そのことをまとめとして、理事会総括報告とします。

(民医連新聞 第1520号 2012年3月19日)

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