事業所のある風景

2011年10月15日

高知/潮江診療所 安心していのちをあずけられる診療所に

 潮江診療所は、高知市内4番目にできた民医連事業所で、南部の潮江地区に医療生協組合員の健康を守る砦として、1989年12月に開院しました。 建設に当たって、医療生協組合員拡大の集中的な運動が展開されました。全国的にも広がった「せーの」行動です。みんなの力を集中してとりくんだ「せーの」 行動では、1日に100人以上の組合員拡大が行われ、開院時には2000人近い組合員と50の班を組織、潮江診療所の基礎的な運動基盤が作られました。

組合員とともに地域分析

 診療所開所後20年を迎えて、組合員とともに、地域分析にとりく みました。この中で、生活保護受給率が高いことや、古い町ほど高齢化率が高く、孤独死が多い傾向などが明らかにされました。近隣の小学校では、具合が悪く ても「お金がないので病院にかかれない」と子ども自身が言うなどの、深刻な貧困の実態が浮きぼりになりました。

いのちの平等をめざして
~無料低額診療事業へのとりくみ~

 こうした地域分析を受けて、無料低額診療事業を中期計画の中に方 針化しました。2009年10月から開始した無低診は、高知県では初めての事業でした。2011年7月までの22カ月間で151件の面談を行い、無低診認 定131件、内32件が入院治療を要するなど、経済的困難のため病院に受診できなかった多くの方々の命を救うことができ、地域の人々から信頼の声が寄せら れています。
 このとりくみは、市議会でも取り上げられ、初診から2週間の限定ながらも、薬剤費の公費補助が2011年4月から制度化されました。

「がんで死なない 死なせない」医療

 中期計画のもう一つの柱は、慢性疾患などで通院中の患者へのがん 早期発見のとりくみです。「がんで死なない 死なせない」を患者に意識づけながら、がん検診・検査をもれなくお勧めしています。このとりくみのなかで、 2011年は胃がん11人など、35人のがんが発見されました。早期がんも多く含まれ、慢性疾患医療の中心は「がんの早期発見」という考え方を定着させつ つあります。

地域からますます信頼される診療所をめざして

 潮江診療所は、1日患者数54人、月750件(2010年度)の小さな診療所ですが、在宅医療や禁煙外来など、患者のさまざまな医療要求に積極的に応え、また班活動や介護事業も併せてとりくんでいます。
 安心していのちをあずけられる総合的な診療所をめざすとともに「地域丸ごと健康づくり」を目標にしていきたいと考えています。
潮江診療所 所長 内田 好彦)

「民医連事業所のある風景」 『民医連医療』2011年10月.No.470より」

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