副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2012年10月1日

副作用モニター情報〈381〉 GLP-1製剤(注射剤)の副作用の特徴について

 糖尿病の新しい治療薬として、2010年6月にリラグルチド(商品名:ビクトーザ(R)皮下注)、同12月にはエキセナチド(商品名:バイエッタ (R)皮下注)が発売されました。インクレチンホルモンであるグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体の作動薬で、グルコース濃度依存的にインスリ ン分泌を促進し、グルカゴン分泌を抑制する作用があります。
 胃排泄遅延作用があり、食欲を抑制し体重増加がないことから、経口剤のDPP-4阻害剤とともに、急速に利用されるようになっています。
 GLP-1製剤の副作用は、消化器系副作用が多く出現することは知られていました。しかし、発売以降、インスリン治療からの切り替えによる糖尿病性ケト アシドーシスと高血糖や、SU剤(スルホニルウレア系薬剤)との併用による低血糖のほか、急性膵炎や腸閉塞が注意喚起され、使用上の注意の改訂等が行われ るなど、重大な副作用が報告されています。

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 全日本民医連副作用モニターには、リラグルチドで10症例12件、エキセナチドで6症例10件の報告が寄せられています。吐気・悪心・嘔吐7件、下痢・ 軟便5件、便秘2件、腹部膨満感、食欲低下、体重減少、腹痛が各1件のほか、SU剤との併用での低血糖1件、注射部位反応(紅斑等)2件、発疹1件でし た。いずれも中止または減量で症状は軽減・回復しています。
 消化器系の副作用は、投与初期や増量時に発現し、数日から数週間で自然に回復する、とされています。1週間以上の間隔をあけて増量するという用法・用量 を守ることが大切です。モニター報告では、入院による導入のため、増量の期間が3日ごとと短かったことも要因のひとつと指摘されている症例が3件ありまし た。また、腹痛や便秘など消化器系副作用の症状は、重大な副作用である急性膵炎や腸閉塞の初期症状の場合もあるので、この点での注意も必要です。
 発売から2年足らずの新薬ですので、動物実験でみられた甲状腺腫瘍の問題をふくめ、今後とも注意深くモニターしていく必要があります。

(民医連新聞 第1533号 2012年10月1日)

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