事業所のある風景

2012年12月15日

愛媛/伊予診療所 最後のよりどころとして

 伊予診療所は、愛媛県のほぼ中央、県都松山市から南へ約10キロの「伊予市」にあります。五色浜をはじめとした海水浴場、夕焼けの景色で有名な「夕やけ小やけライン」など、瀬戸内海に面したところに位置しています。
 伊予市は人口約4万人、うち65歳以上の高齢者人口は全体の約27パーセントを占めています。高齢化率も5年前より1.4ポイント上昇し、全国平均を 4.1ポイント、愛媛県を1.1ポイント上回り、高齢者人口が増加傾向にあります(2011年調べ)。特産品は、削り節、栗、びわ等が有名です。特に麺つ ゆのコマーシャルでも有名な大手の削り節(花かつお)工場が複数あり、国内出荷の6割のシェアを占め、「花かつお通り」と呼ばれる通りもあります。

「自分たちの診療所をつくろう」と

 伊予診療所は、民主的な運動や、いのちと健康を守ろうという意識 から、「三大花かつお」などの労働者、失対労働者(失業対策として公的に行われた日雇い就労事業の労働者)、貧困者(港の長屋住まいの住民)からの「自分 たちの診療所をつくろう」という声のもと1965年11月1日に創立されました。
 創立当時は、間借りの無床診療所で、医療生協の法人認可は受けておらず、1968年5月に伊予医療生協として認可を受けました。同年8月に現在地に有床 診療所として新築移転し、1981年4月に伊予・松山・新居浜の3つの医療生協が合併し、今日の愛媛医療生協になりました。2012年で47年目を迎える 歴史のある診療所です。

療養型病床をもつ診療所

 現在の診療所は、1991年4月に2回目の建替えをし、木造2階建から鉄筋3階建になりました。1階は外来診療、2階は医療・介護保険の療養型病棟(19床)、3階は通所リハビリテーションを行っています。
 伊予市内には入院できる医療機関が少なく、特に医療の療養型病床は、地域住民の方々にとって、本当に最後のよりどころとして頼りにされています。また、 初期研修の臨床研修協力施設、家庭医療後期研修の場としての役割も担っています。

診察室ではBGMをかけて…

 6代目所長の舟戸督力(ルビ:まさかつ)医師は、常勤医師1人と いう困難な医師体制のなか、センター病院からの医師支援を受けながら、外来診療、訪問診療、病棟と、1人で何役も幅広く医療活動をしています。今日も診察 室で静かにBGMをかけて、患者に笑顔でリラックスできる場を提供しています。
伊予診療所 事務長 石川 聡子)

「民医連事業所のある風景」 『民医連医療』2012年12月号.No.484より

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