副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2013年4月15日

副作用モニター情報〈392〉 ジクアホソルナトリウム点眼液 3%による消化器系副作用

 ジクアホソルナトリウム点眼液3%(商品名;ジクアス点眼液3%)は、結膜で水分およびムチンの分泌を促進し、角膜上皮障害を改善する効果があるとして、ドライアイ治療剤として発売されました。今回、消化器症状の副作用が報告されたので、紹介します。
 症例)70代女性。ドライアイ治療のためにヒアレイン点眼液を使用していた が、ジクアホソルナトリウム点眼液が追加処方された。その翌日から「気持ちが悪い」「喉がつかえた感じ」の症状が出現したため、2日目からは点眼回数を減 らした。しかし、5日目になってもまだ「悪心が続く」ため、自己判断にて中止。その後、悪心は回復した。 

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 点眼液による副作用は局所症状が多く、ジクアホソルナトリウム点眼液も、眼刺激感(6.7%)、眼脂(4.7%)、結膜充血(3.7%)、眼痛 (2.7%)、眼そう痒感(2.4%)などの副作用の頻度が高いですが、全身症状の副作用にも注意が必要です。
 消化器系副作用については、添付文書に記載はありませんが、臨床試験(655例)で歯肉炎1例、市販直後調査で口唇炎1例、使用成績調査 (~2012.4)では悪心1例の報告が見られます。上記症例では、ムコスタ錠やタガメット錠を服用しており、原疾患に胃炎があるため、消化器系副作用を 発現しやすかった可能性も考えられます。
 点眼液は涙点から涙嚢を通って鼻涙管へ排出され、一部が鼻粘膜などから吸収されます。そのため、点眼での1回投与量は非常に少ないにもかかわらず、緑内 障治療薬であるβ遮断点眼薬では死亡例を含む重篤な呼吸器系障害や心血管系障害などの全身性副作用が報告されています。
 点眼液では、眼関連の副作用に注意が向きがちですが、全身性副作用を見逃すことのないよう、患者の声を拾う感性を磨きつつ副作用報告を集積することが大切です。
 同時に、目頭を軽く圧迫し鼻涙管への薬物の流出を防止する事は、薬効を高め全身性副作用を防止する効果もありますので、「点眼滴数を守る」「点眼後は静かにまぶたを閉じ1分間程目頭を軽く押さえる」等の服薬指導も必要です。

(民医連新聞 第1546号 2013年4月15日)

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