民医連新聞

2013年6月3日

全国初 若年2型糖尿病患者実態調査で会見 貧困が招いた糖尿病

 全日本民医連「暮らし・仕事と糖尿病調査班」は五月二二日、四〇歳以下の2型糖尿病患者の実態について記者会見を開き、中間報告 を発表しました。調査班責任者の莇也寸志(あざみやすし)医師(石川・城北病院)は「貧困から若者が肥満になり糖尿病を発症している。重度の合併症も多 く、重大な社会問題だ」と訴えました。(新井健治記者)

 会見には全国紙などマスコミ一一社が出席、若年2型糖尿病患者について、年収や学歴など生活背景を詳細に調査した全国初の研究に注目が集まりました。
 調査には民医連の九六事業所が参加、昨年六~七月に対象患者七八二人のカルテを分析するとともに対面調査を実施。今年六~七月に改めて追跡調査します。
 患者のBMI値の推移を分析すると、一〇代で既に一定の肥満状態になり、成人後にさらに体重が増加して糖尿病を発症していました。患者は低学歴で非正規 雇用が多く、貧困や労働環境の悪化が糖尿病の発症を早めていることが推測されます。
 厚労省のデータ(二〇~三九歳)では、BMI三〇以上の高度肥満が一六〇万人、このうち糖尿病が強く疑われる人が四〇万人いる一方で、通院患者は二二・ 二%にとどまっています。莇医師は「民医連の調査は氷山の一角。患者の多くは網膜症など重度の合併症を発症しており、腎症の多くが将来的に透析治療に移行 する危険性が高い」と警告します。
 調査結果は五月の日本糖尿病学会でも発表。調査班の松本久医師(熊本・くわみず病院)は「患者の背景には社会的な問題があり、個人に血糖コントロールを 求めるだけでは解決しません」と強調。共同研究者で順天堂大学医学部の福田洋准教授は「大変なことが起きていると分かった。ヘルスリテラシーや健康格差の 視点から分析したい」と話しました。

(民医連新聞 第1549号 2013年6月3日)

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