いつでも元気
2014年3月1日
くすりの話 165 認知症の薬
Q:認知症について教えてください
A:認知症はいったん正常に発達した知能(脳)に、何らかの原因で記憶や判断力などの障害が起き、日常生活に支障をきたす病気です。原因はさまざまですが、「アルツハイマー病」によるものが全体の60%を占めています。
現在は、障害を受けた脳そのものを元の状態に戻したり、症状を劇的に改善させたりできる薬はありません。しかし症状の進行を遅らせたり、徘徊や幻覚・妄 想などを抑えたりする薬はあります。これらの症状を抑えることができれば、患者さんが穏やかに生活することができ、家族などの介護者の負担を減らすことに も繋がります。
Q:どんな種類の薬がありますか?
A:アルツハイマー型認知症の原因のひとつとして、脳の神経伝 達をおこなっている「アセチルコリン」という物質が減ってしまうことが挙げられます。これを改善する薬として、現在はドネペジル(アリセプト)やガランタ ミン(レミニール)、メマンチン(メマリー)、リバスチグミン(リバスタッチパッチ、イクセロンパッチ)の4種類が使用されています。
リバスタッチパッチとイクセロンパッチは貼り薬のため、介護者の服薬管理の軽減や錠剤の服用が難しい患者さんが使用しやすいというメリットがあります。 メマリー錠は上記の薬のどれかといっしょに服用することで、治療効果が上がることが期待されています。
また、認知症では記憶力や理解力の低下などの共通した症状のほかに、お金を盗られたと思い込んだり、暴言や暴力をふるったりするなど、人それぞれの症状 が現れることがあります。それらの症状に応じて、向精神薬や漢方薬が処方されることもあります。
Q:薬を飲む際の注意点は?
A:どの薬にも共通することですが、「決められた飲み方をしっかり 守って、きちんと服薬すること」が大切です。認知症の薬は症状の進行を遅らせるためのものなので、一見すると何の改善もないように感じることから、服用を やめてしまい、症状が悪化してしまう方もいます。ご自分や周りの方の判断で勝手に薬をやめたり、量を調整したりしないでください。
また、薬を安全に続けるためにも副作用についても知っておきましょう。たとえばアリセプトやレミニールでは、吐き気や食欲不振、下痢など消化器の副作用が起きることがあります。
メマリーはめまいや眠気、リバスタッチパッチ、イクセロンパッチでは消化器症状のほか、皮膚のかぶれやかゆみなどの副作用があります。
これらの症状以外でもふだんと違う症状が現れた場合は、医師や薬剤師に相談してください。
いつでも元気 2014.3 No.269
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