Dr.小池の世直し奮戦記

2014年4月1日

Dr.小池の世直し奮戦記 記録的な大雪被害 ──そこでもがんばっていた民医連

 二月一四~一五日にかけて、関東甲信地方をはじめ、全国を襲った大雪が大被害をもたらしました。特に山梨県では、一八九四年からの観測史上最大となる積雪量で、地域に深刻な打撃をあたえました。
 私は大雪の直後から、首相官邸や内閣府・厚労省などに人命救助などの緊急対応を求めました。約七〇〇人が受験できなかった看護師国家試験も、三月中の 「追加試験」が実施されることに。医療関係職の国試「追試」は、初めてのことです。

山梨県内は積雪で大混乱

 雪のため、JR中央本線、中央自動車道や国道の不通が続きましたが、中央道の閉鎖が解除された一八日朝に、私は車で山梨県に入りました。
 何時間かかるかわからないと覚悟して向かったのですが、中央道は意外にもガラガラでした。しかし甲府南インターを降りるのに三〇分を要し、その後の甲府 市内も大渋滞で、三〇分かかって一キロも動かないありさまでした。市内幹線道路の除雪が遅れて、車線規制がされていたためです。この地域が、大雪に慣れて いないことを痛感させられました。

大雪で農家のハウスがぺしゃんこに

 想像以上に深刻だったのが、ハウス農家の被害です。
 甲府市農業委員会前会長の佐野安男さんのハウスは、贈答用の高級な梨(幸水)を出荷してきましたが、降り積もった雪の重みで支柱が折れ曲がり、梨の木も 折れるなど、壊滅的な被害に。「壊れたハウスの撤去費用すら、個人の力ではどうしようもない」と訴えておられました。
 同市でイチゴ園を営む女性は、六連棟のハウスが全壊。必死の雪おろしで無事だったのは一棟だけ。「四五年間一生懸命がんばってきたのに、寝込みを襲うよ うに短時間で積もった」との嘆きが。つぶれたハウスの中には、収穫期を迎えたイチゴの香りが立ちこめていました。一口いただいたイチゴの、とてもおいし かったこと! 私は「また、イチゴ狩りが再開できるように、国や県にハウス再建を支援させましょう」と激励しました。
 隣接する笛吹市のブドウ農家でもハウスがつぶれていました。「収入の道が絶たれて、今はまったく先が見えない」「大学進学を控えた息子には『大丈夫』と 言っているが…」と涙ながらに語る農家のご夫妻に、私は「復旧のために必要なことはすべておこなうのが、災害対策の原則です。国や県に万全の対策を迫りま す」と力をこめました。

甲府共立病院も奮闘

 私が研修医時代、半年間勤務した甲府共立病院では、透析室のスタッフの方からお話を聞きました。
 大雪の当日は四二人のうち一二人しか透析ができず、必死で患者さんの送迎にあたり、日曜も臨時透析を実施したそうです。通勤が困難で、帰宅できずに泊り 込みを続けている職員もいらっしゃいました。そんな中で、県立病院からの患者受け入れ要請にも応えたとのことで、献身的な奮闘に頭が下がりました。
 医療・介護や農業など、弱者を守り、地域を支える産業を強くすることが、「災害に強い国づくり」につながる。そんな思いがますます強まりました。

いつでも元気 2014.4 No.270

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