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理事会(2025年11月)増田会長あいさつ

【増田会長あいさつ】

 自民党総裁の高市早苗氏が憲政史上初の女性首相に就任しました。10月24日の所信表明演説では、防衛費対GDP比2%の補正予算による今年度中の達成、安保三文書の来年度改定など、大軍拡と戦争する国づくりへの前のめり振りを示し、さらには自公維3党で合意した社会保障抑制方針や、辺野古新基地建設の推進を表明しました。台湾有事を日本の「存立危機事態」と捉えるかのような発言や、殺傷兵器の輸出拡大などは、日本の信頼を台無しにするもので、常軌を逸しています。

 財源問題への姿勢はその政権の特徴を示しますが、高市政権は「責任ある積極財政」を主張し、財政規律的にはとても「緩い」内閣です。女性初の財務相となった片山さつき氏は2012年以来歴代政府が掲げ続けてきた「PB(プライマリーバランス)黒字化」という目標設定を柔軟に扱うとし、後日、予算委員会で高市首相自らも単年度での黒字化目標を撤回しました。加えて、本来防衛費のための国債発行はご法度ですが、補正予算の財源について「足りなければ国債増発になる。そういう状況になったら当然やむを得ない」と、財務大臣が発言したことは重大です。

 国内問題への着手前に行われた外交では、アメリカへの忖度と追従振りが顕著に示されました。軍備拡張と80兆円もの対米投資を約束し、原子力空母ジョージ・ワシントンの甲板で腕を突き上げ、身体を弾ませるようにして迷彩服の米兵らの喝采に応える我が国の女性首相の姿は、見ていてとても辛いものでした。トランプ大統領をノーベル平和賞候補として推薦したとの報道もありますが、もし本当なら、唯一の戦争被爆国の首相として恥ずべき行為です。

 日本維新の会が連立成立の「1丁目1番地」として、従来の「政治と金」問題から知らない内にすり替えた「議員定数削減」については、議員立法とするという理由で所信表明演説から除かれました。いい加減極まりない無責任な案件ですが、民主主義の根幹に関わる課題でもあり、絶対に阻止しなければなりません。既にメディアでも紹介されていますが、日本の人口当たりの国会議員数はG7では下から2番目、OECDでは38か国中36位とかなり下位に位置し、過剰どころか「少ない」と判断することが妥当です。比例代表部分の削減が画策されていますが「少数政党に不利」などと言う問題ではなく、あくまでも「民意の反映」という民主主義の在り方として問題視されなければなりません。

 この政権の誕生で、選択的夫婦別姓や企業団体献金禁止といった緊急度の高い課題の実現が遠のいたような見方もありますが、野党が丁寧な対応をすれば実現できる条件は整う世論状況だと思います。国民生活の実像と現政権が掲げる政策は乖離し続けており、引き続き「非戦・人権・くらし」の視点で地道な実践を継続・強化していくことが必要です。

 ニューヨークで、34歳の移民のイスラム教徒マムダニ氏が圧勝して市長に当選しました。自身を民主社会主義者と称し、バーニーサンダース、アレキサンドロ・オカシオ・コルテス(AOC)両氏に囲まれた笑顔の写真が実に印象的です。「我々はトランプの対局にある」と主張し、家賃・交通の負担軽減、保育・教育の無償化、最低賃金増額などを掲げ、不公正な税制を批判し、財源を大企業・富裕層への課税強化で賄うとしており、大きな支持を得ました。庶民・中間層・貧困層のニーズを代表することが如何に大事かを示しているとともに、同じ物価高に苦しむ日本でもこうした新しい力が望まれていると切に感じます。今後予想される様々な逆流に抗して、価値ある結果が産まれることを願いつつ、日本でも政治革新へのアクションを実現したいものです。

 人々のいのち、健康に深く関わる医療・介護・福祉に従事する者として、意思表示と行動を起こし、戦争する国づくりと、「医療追い出し、介護とりあげ」の社会保障削減が一体となった政治の中で、引き続き、運動を強化し前進しましょう。