MIN-IRENトピックス

2020年8月27日

理事会(2020年8月)増田会長あいさつ

 7月19日、元全日本民医連会長の莇昭三先生が93歳でお亡くなりになりました。1980年代、医療費抑制政策が本格的に始まり、世界政治の分野でもベルリンの壁が壊され、ソ連が崩壊するという歴史の転換点を含む10年間、全日本民医連会長として、全国の運動のかじ取りをされた、レジェンド的存在のお一人がまたこの世を去りました。
 1983年の山梨勤医協倒産の折には、経営課題として狭く捉えず、医療活動や組織運営の在り方にまで掘り下げて総括するとともに、「共同の営み」論を展開され、現在の「2つの柱」に繋がる屋台骨を築かれました。また、日本の核廃絶運動にも多大な貢献をなされました。大変多くの業績を残しておられる方ですので、改めて莇先生の歩んでこられた道のりをトレースすることで、民医連運動の歴史と理念の発展の経過を学び直すことが重要だと感じています。現地石川民医連とも相談し、偲ぶ会的な企画を計画したいと考えています。

 7月には3つの不当判決が出されたましたが、この1か月間で今度は歴史的な判決が2つ出されました。前後しますが、ひとつは7月29日、広島地裁での黒い雨判決。5年前に始まったこの裁判で黒い雨で被害を受けた84人全員を被爆者と認定しました。原告のうち16人は判決を聞く前に他界されております。画期的な判決でしたが、あろうことか国は控訴しました。断じて許すことのできない暴挙です。全日本民医連は地元広島民医連と連帯し、全ての「黒い雨」被害者救済に今後も力を尽くす決意です。今年の広島・長崎での平和式典で、両市長が核兵器禁止条約への国としての参加を求めたのに対して、安倍首相は発言の中では一切にそのことに触れず、相変わらず、具体性の無い持論の展開に終始し、多くの被爆者や国民を落胆させました。政治変革の必要性を強く感じざるを得ず、ここでも市民と野党の共闘の進化が求められています。
 もう一つは7月28日、特養あずみの里の控訴審での歴史的逆転無罪判決です。今回の判決は死因論に一切触れることなく、過失論のみで無罪を言い渡したことにその特徴があります。有罪の判断に窒息の有無を持ちこまなかったことは、医療介護の現場の緊張感を大きく和らげたと言えます。判決要旨の結論部分に以下のような記載があります。「弁護人は、被害者が喉頭ないし気管内閉塞による窒息に起因する心肺停止状態に陥ったことについて重大な疑義があると主張し、詳細な主張立証を尽くす努力をしたが、平成26年12月に本件公訴が提起されてから既に5年以上が経過し、現時点では控訴審の段階に至っている上、有罪の判断を下した原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな前記事実誤認がある以上、上記疑義や他の控訴趣意についての検討に時間を費やすのは相当ではなく、速やかに原判決を破棄すべきである」。死因は脳梗塞であるという弁護団の積極的な立証努力を裁判所が判決文で紹介し、これ以上、時間をかけることはまかりならんと検察側をけん制した内容になっています。私は弁護団が丁寧に粘り強く科学的に死因論を展開したことが、この判決文に繋がったと確信しています。検察は上告を断念しました。事案の発生から、今度の冬で7年になります。この間、関わった全ての方々に感謝するとともに、先頭に立ち、不屈にたたかい続けたご本人に心から敬意を表します。

 新型コロナウィルス感染症は、春の波を大きく上回る規模で拡がり続けています。今後秋から冬にかけて更に深刻な事態になる懸念を抱かざるを得ません。いまや流行地では軽症あるいは無症状の感染者が後を絶ちません。これだけ経路不明の、しかも軽症状・無症状の感染者が発生している状況において、PCRや抗原検査を増やすことについては概ね見解が一致しているかと思います。8月18日付けの厚労省通知では、行政検査についてのQ&Aが改定され、感染多発地域では医療施設・高齢者施設の勤務者や入院・入所者に対して、当該施設内の感染者の有無にかかわらず、行政検査の適応を拡げる旨の内容となっています。新聞報道で、日医有識者会議PCR班責任者の宮地勇人東海大教授のPCR精度管理についての記事がありました。巷でよく聞く「感度70%」「偽陽性者が出て大変」という不安に対してPCR検査の信頼性を示す内容になっていました。検査の特徴や精度について、専門家からの積極的な発信が必要な情勢だと感じます。必要時速やかなPCR検査可能な体制づくり、地域感染動向把握のためのサーベーランスを求めていますが、それを阻むものが一体何なのかを明らかにすることが重要です。感染多発地域では行政検査のひっ迫状況が明らかです。新型インフルエンザ対策の教訓が全く生かされなかったこの国の対応こそを変えていかねばならないと思います。

 人々のいのち、健康に深く関わる医療・介護・福祉に従事する者として、意思表示と行動を起こし、戦争する国づくりと、「医療追い出し、介護とりあげ」の社会保障削減が一体となった政治の中で、引き続き、安倍政権の暴走を阻止していきましょう。

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