MIN-IRENトピックス

2023年5月25日

理事会(2023年5月)増田会長あいさつ

【増田会長あいさつ】

 新型コロナウイルス感染症は、5類にすると決まったとたんに、「科学レス」になったことについて、メディアでは、そうしたことについての専門家同士の激しいやり取りなどは皆無で、日本中で忖度が蔓延したという感想です。
 定期開催としては最終回となった4月19日のアドバイザリーボードに、メンバー4氏連名の「新型コロナウイルス感染症のこれまでの疫学と今後想定される伝播動態」という論文が資料として提出されました。その中では、最大の死者を出した8波では恐らくもっと多くの感染者がいたであろうこと、6波以降の感染拡大の原因の一つとして対策の緩和があったこと、循環器系・呼吸器系疾患による超過死亡が認められていることなどが紹介されています。加えて、今後の見通しとして、既に86%以上の自然感染率を示す英国が減衰振動という段階に入り、常時感染者数が2%程度の定常状態に向かっていることが紹介されています。
 それに対して、約半数しか感染していない日本においては、9波が来る可能性が高く、ハイブリット免疫を行いつつ、重症者・死亡者を極力抑えながら、英国のような状況に移行するといった予測が述べられています。その際に、先の抗N抗体調査で明らかになったように、自然感染者の割合が低い高齢者層が大量に控えている日本の特徴から、施設などでのクラスター発生や、その中での死亡者数の拡大に注意を払わなければならないことが指摘されています。
 WHOテドロス事務局長は5月5日、前日に開催した専門家委員会の勧告を受ける形で、3年3か月に及んだ「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を終了すると発表しました。5月3日時点で世界の感染者数は7億6500万人、死亡数は692万人以上ですが、テドロス氏によれば実際の死亡数は少なく見積もっても2000万人を下らないとしています。厚労省の研究班によると、この3年間の国内超過死亡は13万5000人に及ぶとされています。これを持って新型コロナウイルス感染症は終息したわけではありませんが、世界中を巻き込んだ巨大パンデミックはいよいよ新しい段階に入ったと言えます。
 日本においては、感染者数が下げ止まり、上昇に転じていた状況でGWに突入し、5月8日をもって感染実態は完全にブラックボックスに入りました。今後は現場で直面する発生状況から全体を見通すしかありません。既に約2週間が経過しましたが、クラスターの発生や、感染確認検査の扱いなどを巡って、既にその混乱ぶりの一端が垣間見えているというのが実際のところかと思います。

 春の統一地方選挙が終了しました。投票率の低さがその象徴ではありますが、この選挙と並行して、通常国会で重要法案がまともな議論が無いままに、数の論理が横行するという状況にもかかわらず、そうしたことは実際の選挙戦では殆ど争点化されませんでした。軍拡財源法案、原発推進法案、入管法改悪案、保険証廃止マイナンバー法案など、どれもこれも簡単に決めてはいけないものばかりです。
 所属政党が軍拡やIRを推進していても、地方選挙では「古い政治か新しい政治かを選ぶ選挙」「身を切る改革」といった漠とした主張で、重要事案に対する候補者の立場が問われないままに投票に至ってしまうことに、強い違和感を禁じ得ません。加えて、所属国会議員が、人権侵害の果て見殺しにされた人に対して詐病の疑いをかけるなど、「地方議員は無関係」では済まされない事態も発生しています。
 憲法記念日に向けて行なわれた朝日新聞の世論調査で、主要政党の軍拡に対する立場をどう捉えているかとの問いに、自民党については7割以上の回答者が軍拡推進と捉えているのに対し、維新の会ではその数字は4割程度に留まっています。自民以上の軍拡推進派であるにもかかわらず、そのことが正しく有権者に伝わっていないと言わざるを得ません。加えて、同世論調査によると、「政治家は自分のような人々のことをあまり顧みない」という意見について(「どちらかと言えば」も含めて)7割が「そう思う」と回答し、また、「現在の政党は既得権益にとらわれており、より直接的に人々の意思を代表するリーダーが現れてほしい」という意見に対しては(「どちらかと言えば」も含めて)「そう思う」が8割を超えていました。積極面もある一方で、過去の負の歴史との類似点を想起してしまいます。国民に広く正しい情報が行き渡り、「選挙リテラシー」が醸成されることが強く求められると思います。市民と立憲野党の共闘を、否定的に描き出す報道が散見されるなか、政党側がぶれずにその結束を強化できるかどうかは、市民の側の運動の成否にかかっているとも言えます。

 人々のいのち、健康に深く関わる医療・介護・福祉に従事する者として、意思表示と行動を起こし、戦争する国づくりと、「医療追い出し、介護とりあげ」の社会保障削減が一体となった政治の中で、引き続き、自公政権の暴走を阻止していきましょう。

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