MIN-IRENトピックス

2021年9月28日

理事会(2021年9月)増田会長あいさつ

 新型コロナ第5波は過去最大の感染爆発となり、在宅では悪化の恐怖に晒されながら懸命なたたかいが続いています。8月単月で全国での自宅・宿泊所での死亡例が250人にのぼりました。日本の総感染者数は166万、死亡者は1万7000を超え、今月12日に解除される予定だった緊急事態宣言は月末まで延長されています。
 東京オリンピック・パラリンピックが終わりましたが、感染が日々拡大した7月下旬から8月にかけて大切な医療資源・人的資源が現場から奪い取られ五輪対応に投入させられた問題(実際、開催期間中に東京都内で施行した検査数は五輪関連の半分以下に止まった)や、パラリンピックの学校連携事業の強行で子どもたちが感染の危険に晒されたことなど、曖昧にしてはならない問題が多々宿題として残りました。
 現在、感染者発生が減少基調になっており、その理由については多くのメディアで「不明」とする見解が目立ちます。一部の専門家が指摘するように、ワクチン接種が進んだことと併せて、病床ひっ迫や自宅死亡などの報道が一気に増えたことで自粛行動が強まった可能性を挙げることもできますが、感染者減少の起点がオリンピック終了後、約2週頃であることからみれば、オリンピック終了によってそれまで表面化しなかった「3密」が減少した可能性は否定しようがないと思います。言い換えれば、オリンピックの強行開催は感染拡大と密接に関連しており、本来、助かるはずのいのちが失われるという重大事態を招いたと総括されるべきだと思います。
 第5波がこれで収まるのかどうかは全く予断を許しません。ある専門家によれば第6波が来ない理由がないと認識を示しており、構えを緩めることはできません。加えて、9月3日の政府分科会では「全ての希望者がワクチン接種を終えたとしても、社会全体が守られるという意味での集団免疫の獲得は困難」との認識が初めて示され、ワクチンのみに頼った対策では収束に至らないことが明らかになってきています。
 全国的に病院などでの職員を巻き込んだブレークスルー感染からクラスターが発生している状況が報道されています。改めて各事業所レベルでの感染対策方針を、「全ての人が無症状の感染源になり得る」という視点で周知・徹底していくことを呼び掛けたいと思います。

 菅内閣が終焉を迎えることになりました。専門家をして「制御不能」と表現せざるを得ない現状を招いた最大の原因が、現政権の失政であることは明らかです。五輪の強行開催や浮世離れした「GoTo」キャンペーンは勿論のこと、まともな補償もないままに飲食店に時短・休業・酒類提供禁止を強要し、違反者を金融機関や国税庁を使って取り締まる、病床ひっ迫があたかもコロナに対応しない民間病院の責任かのように描き出し、各施設の事情お構いなしに「要請に従わない場合は公表」と脅すなど、常軌を逸した脅迫的対応を行いました。加えて、保健所機能の強化や在宅フォローの準備もないままに一方的なルール変更で入院を制限し、結果、多くの感染者を自宅で無治療のまま病状悪化の恐怖に晒し、不幸にもいのちを落とす例を多発させました。国民皆保険を誇るこの国で、病気になり、かつ、強い治療希望がありながら医療を受けることすらできず、いのちを奪われる、あってはならない、まさに悲劇を発生させた責任は重大です。
 振り返れば、就任以来、「自助」の強要と学術会議委員任命拒否にはじまり、後期高齢者窓口負担2倍化や病床削減法案の強行、LGBTQに関する法整備妨害、そして、モリ・カケ、サクラをはじめ広島選挙区や東北新社をめぐる数々の「政治と金」の問題でのごまかしと隠蔽、その他にも核兵器禁止条約や原発事故処理、温暖化対策、辺野古新基地建設をめぐる非民主的で不遜な態度の数々、言い出せばきりがありません。
 現在、月末の自民党総裁選についての報道が、他のニュースを押しのけて連日垂れ流されています。安倍氏の意向がよっぽど気になるのか、軍国主義的復古主義政策丸出しの候補がいると思えば、無反省の新自由主義者、これまでの政治信条をいとも簡単に変節させる候補など、やはり、この政党のどの方がトップになっても、コロナ対策や国民の暮らしも、民主主義やジェンダー平等も、平和・核廃絶や温暖化対策も、前進するとは到底思えません。来るべき総選挙は、極めて大きな意味を持つ選挙になります。国政の力関係が大きく変わるような、ダイナミックな取り組みを進めていきます。

 気候危機に対する世界的なムーブメントでは、大変意義ある発信がありました。2021年9月21日から始まる国連総会、10月中旬の中国・昆明での生物多様性条約(UNCBD)第15回締約国会議、11月のスコットランド・グラスゴーで開催予定の国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第26回締約国会議を前に、9月5日、世界トップクラスの医学専門誌228誌(9月9日現在251誌に増加)は、異例の共同論説「地球の気温上昇の抑制、生物多様性の回復、および健康を守るための緊急行動の呼びかけ」を発表しました。この中では、各国政府は健康への大惨事を回避するために、世界の平均気温上昇を1.5℃に抑える上で必要となる、あらゆる可能な限りの対策を取らなければならないこと、そしてそれは、高所得国の政府が世界の他地域を支援するために、今よりもはるかに多くの対策をとることによってのみ達成することができるという主張が展開されています。

 9月18日、アジア太平洋戦争の起点ともなった旧日本軍による満州事変開始から90年の節目を迎えました。北朝鮮の動向や台湾有事を想定しての軍拡や敵基地無力化を実現する法整備、新興感染症拡大時の対応を理由に緊急事態条項の憲法への書き込みなど、平和憲法の理念を脅かすこうした動きが顕在化している現在の日本においては、満州事変の実像とその末路について学び直し、その教訓を今に活かすことが大変重要だと思います。2年前の2019年9月、全日本民医連は旧満州の地をフィールドに平和学習ツアーを行いました。この時の参加者は今もなおSNSで繋がり平和についての様々なやり取りを行っています。コロナ禍を乗り越え、また、こうした取り組みを旺盛に行えるようになることを展望して、目の前の課題に挑んでいきたいと思います。

 人々のいのち、健康に深く関わる医療・介護・福祉に従事する者として、意思表示と行動を起こし、戦争する国づくりと、「医療追い出し、介護とりあげ」の社会保障削減が一体となった政治の中で、引き続き、自公政権の暴走を阻止していきましょう。

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