来たぞ、総選挙！ 私たちが国政に求めること

　 １２月１４日に総選挙が行われます（２日公示）。「アベノミクスの継続が最大の争点」と、安倍首相は言いますが、私たちが評価すべきは経済政策だけでしょ うか？　そこで、民医連の仲間から、国政の関心事について聞きました。安倍政権の２年間（表）を振り返ると…ＴＰＰ参加、戦争政策の推進、原発の再稼働推 進や消費税増税、社会保障解体など文字通り「暴走」。主権者として審判を下せるチャンスが、ようやくやってきました｡

■医療・介護■
行き場のない病人、どうする
高知・今井ゆりさん　旭診療所／看護師

　四月の診療報酬改定で、施設入所者への訪問診療の報酬は約四分の一に引き下げられました。 うちの往診患者さんにも施設入所の方が多く、ただでさえギリギリの経営には本当に痛手です。在宅を辞める医療機関が出てもおかしくない。政府は「病院・施 設から在宅へ｣と言いながら､どういうつもりかと､怒っています｡
　薬の間引きや、年金が出る日を待って受診の間隔が延びるなど受診抑制も増えています。戦前からの古い木造住宅に住む高齢者も多いのですが、生活保護基準 以下の収入でも持ち家があるからと言われて不当に生保を受けられない。お金がある人は在宅生活を続けられますが、お金がなくて認知症などになれば、今の介 護保険では在宅は無理。しかも行き場もない。
　患者さんが安心して医療や介護を受けられて、医療機関も経営を心配せず在宅医療に力を注げるように、制度を整えてほしい。

■戦争する国■
平和がいちばんの関心事
大阪・栗山政士さん　西淀病院／医師

　今度の選挙で最も関心がある問題は平和です。政府は集団的自衛権を使えるようにするこ とで、外交で優位に立てると考えているようです。今年８月に医師の国際会議でカザフスタンを訪問しましたが、外国人から見れば憲法９条の方がはるかに価値 があると思いました。外国では若者も気軽に政治談義をしている。民主主義は国民が政治に関心を持つことで成り立つ制度。戦争する国づくりとセットの秘密保 護法は独裁国家への道です。日本は本当に民主主義国家なのか？　今一度、真剣に考えたい。

■くらし■
消費税８％は大打撃
北海道・坂野悠紀子さん　札幌手稲健康友の会／事務局長

　消費税が八％になって、くらしが厳しくなっています。今年の拡大強化月間でも実感しまし た。地域を回り、友の会入会や『いつでも元気』誌をすすめても、五〇〇円の入会金をためらったり、「食費は削れないが、読む物は無くても命に関わらないか ら」と、経済事情が真っ先に出ます。昨年までは無かった反応です。北海道の厳しい冬に欠かせないのが暖房ですが、燃料代が上がり、札幌市には福祉灯油の制 度もなく「これで一〇％になったら…」と不安です。
　政府は｢消費税は福祉に回す｣と言いますが、八％に上がっても、そんな実感はゼロ。サギのようです。
　総選挙になり「安倍さんが勝てば、消費税引き上げを見送ってくれるのでは？」という人もいるので「先延ばしするだけで、結局一〇％にするのよ。消費税は無くしましょう」と話しています。

■原発■
再稼働でまた犠牲出すのか
福島・矢吹道徳さん　浜通り医療生協／副理事長

　いわき市平の稲作農家で、震災当時は自治会長でした。原発事故直後は大混乱で、住民の３分 の２がいなくなってしまった。事故から３年８カ月経っても十数万人が故郷を離れ、近所には山梨や沖縄に自主避難したままの家族がいます。いったん原発事故 が起きたら、手をつけられない。誰かが犠牲になって原子炉を止めるしかない。そんな命令を誰が出せるのですか？
　川内原発をはじめ、再稼働なんてとんでもない話。福島の県議会では、自民党から共産党まで県内の全原発廃炉を主張しています。でも、県外なら危険でも再 稼働して構わないのか？　全国の原発廃炉を主張できる政党を選びたい。