Dr.小池の世直し奮戦記

2014年11月1日

Dr.小池の世直し奮戦記/「女性が輝く社会」と言うが/──差別解消こそ、待ったなし!

 九月三日に発足した安倍改造内閣の“目玉”とされているのが女性閣僚です。
 安倍晋三首相は、過去最多に並ぶ五人の起用で「女性が輝く社会」に向けた決意を語りました。内閣改造直前に閣議決定した「日本再興戦略改定2014── 未来への挑戦」でも、女性の力を「成長戦略の中核」の一つとしています。

男女格差や賃金差別の解消こそ

 ところが安倍首相は、わが国で女性が活躍する大きな障害となってきた賃金などの男女格差や女性差別の解消については、何一つ語りません。
 日本では二五〇〇万人を超える女性が働いており、働く人全体の四割以上を占めます。しかし、その役割や能力にふさわしい適切な評価がされていません。
 正社員でも、女性の賃金は男性の約七割で、非正規社員などを含めると男性の約半分。その結果、働く女性の四三%は、年収二〇〇万円に満たないのが実態です。
 「世界経済フォーラム」による男女格差の指標「ジェンダー・ギャップ指数2013」によれば、日本は調査対象一三六カ国中、一〇五番目です。しかも、こ の「指数」の発表が始まった二〇〇六年には八〇位だったのに、その後、どんどん順位を下げているのです。

政府の対策はお粗末どころか危険

 安倍政権は「女性が輝く社会」をめざすと言いながら、その施策の内容はきわめて不十分であるだけでなく、むしろ危険性をはらむものとなっています。
 九月一六日、内閣改造直後に開かれた政府の諮問機関・規制改革会議は、「女性の活躍」の場を提供するために「多様な働き方を実現する規制改革」が必要だ とうたい、「労働時間規制のあり方を含め、より多様で柔軟な働き方の選択肢を拡大する」方向性を打ち出しました。これは、残業代をゼロにする「ホワイトカ ラーエグゼンプション」などの労働法制改悪を、新たな装いですすめるものにほかなりません。また「多様で柔軟な働き方」とは、非正規雇用を拡大するという ことです。非正規雇用の六割を占める女性にさらなる格差・負担を押し付けるものです。
 真に「女性が輝く社会」を実現するためには、「正社員が当たり前」という社会に転換すべきです。同一労働同一賃金や長時間労働に対する規制強化、最低賃 金の大幅引き上げなども必要です。安心して預けられる認可保育所の増設、学童保育の拡充など、男女がともに仕事と子育てを両立できる法整備・環境整備が求 められています。

時代錯誤の女性差別撤廃を

 夫婦同姓を強制する法制度や、女性だけに存在する離婚後の再婚禁止期間(六カ月)、婚外子への 相続差別など、国連などから差別撤廃の勧告を何度も受けているのに、日本政府はこれを無視してきました。しかも新内閣の閣僚一九人のうち一五人は、近年強 まっている「男女共同参画」の動きを「男らしさや女らしさを否定する」ものと敵視し、夫婦別姓にも強く反対している「日本会議」国会議員懇談会に所属して います。
 時代錯誤の性差別を解消し、日本国憲法が保障した「両性の平等」を実現することこそ、「女性が輝く社会」に向けた第一歩となるのではないでしょうか。

いつでも元気 2014.11 No.277

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