Dr.小池の世直し奮戦記

2014年12月1日

Dr.小池の世直し奮戦記/かけ声ばかりの「地方創生」/──東京一極集中を是正するために

 安倍内閣は、秋の臨時国会を「地方創生国会」と位置付け、「国民が安心して働き、希望通り結婚し子育てができ、将来に夢や希望を持つことができる、魅力あふれる地方を創生する」としました。
 しかし地方から「安心して働く」場や「結婚し子育てができる」環境を奪ったのは誰なのでしょうか。それは農業を破壊し、福祉を削り、市町村合併などで地方を切り捨ててきた、これまでの自民党政治にほかなりません。

「人口減少」の原因は何か

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 「地方創生」の中心課題に「人口減少の克服」があげられていますが、なぜ日本の人口が減少して いるかと言えば、若者が結婚し、出産・子育てをしていくことが難しくなっているからです。若者と女性の二人に一人が非正規雇用を強いられるなど、異常な不 安定雇用と低賃金、長時間労働が広がっています。この現状は、自公政権による労働法制の規制緩和によって作りだされたものです。
ところが安倍内閣が臨時国会に提出した労働者派遣法「改正」案は、若者に「生涯ハケン」を押し付け、正社員化どころか、逆に正規労働者を非正規におきかえるもの。これでは「人口減少の克服」などできません。

「一極集中」はなぜすすんだか

 安倍内閣は「東京一極集中の是正」とも言います。しかし「集中」の原因も、地方の産業が壊され、雇用が失われてきたことにあります。日本の農業や林業 は、政府の輸入自由化路線によってつぶされてきました。規制緩和で大型店の身勝手な進出・撤退がおこなわれ、そのあおりを受けて、地方都市の中心街は シャッター通りばかりになりました。
 さらに「平成の大合併」で、地方自治体はほぼ半減。一方で、地方自治体の大きな財源だった国の地方交付税は大幅に削減され、地方の経済と財政を弱らせました。
 その上、国際競争力の名で高速道路・港湾・空港などの建設にあけくれ、大都市部の大規模開発をすすめたことが、地方の人口を東京に吸い上げたのです。

「地方創生」と言うなら

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地方都市は疲弊している(写真はシャッターが目立つ山口県下関市の商店街)

 いま米価が大暴落し、農家経営が立ち行かない事態が起こっています。TPP(環太平洋連携協 定)や日豪EPA(経済連携協定)を推進すれば、農畜産業をはじめ、地域経済に壊滅的な打撃をあたえるのは明らかです。深刻な環境破壊も懸念されている 「リニア中央新幹線」を整備すれば、「東京一極集中」はますます加速します。このことは、リニア整備を認めた審議会でさえ指摘しています。
 地方から産業と雇用を奪い、集中を加速する政策をとりながら、「東京一極集中の是正」というのは、矛盾しています。国民が生活するすべての地域を自治体 とともに支えていくことこそ、国の本来の役割ではないでしょうか。
 農林水産業や再生可能エネルギーなどの地域資源を思い切って活用して、雇用と所得をつくり、医療と介護を充実させて、地域の安心を築いていくことが必要 です。大都市での大型開発を見直して、そのお金を地域密着、防災・メンテナンス優先の公共投資に振り向けることが求められています。
 「地方創生」をかけ声だけで終わらせない、政治の責任が問われているのです。

いつでも元気 2014.12 No.278

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