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2015年2月3日

いのちの格差を乗りこえるシンポジウムin山梨 山梨民医連 県内の問題 一緒に解決しよう

 山梨民医連は昨年「いのちの格差を乗りこえるシンポジウムin山梨」を開催しました。全日本民医連が二〇一三年一二月に発表した「いのちの格差を是正する 人権としての医療・介護保障めざす提言」を土台に、社会保障の解体をすすめる国政に対抗して「憲法に立脚した権利としての社会保障を実現」を追求することを目的に山梨民医連として企画しました。

 シンポジウムは昨年一二月六日、山梨県立大学を会場に民医連内外から二二〇人の参加で開催。
 シンポジウム開催に向けたプロジェクト会議では二点の獲得目標を持ちました。第一は「貧困と格差」が医療・介護の現場や地域にどのような形で表れているかを事例などで明らかにし、参加者とともに実態や課題を共有し、医療・介護、住民福祉をめぐる問題や矛盾の打開策を探る。第二は「貧困と格差」打開の課題にとりくんでいる県内の諸団体・個人との一致点を探り、協力・共同の関係をつくり運動の輪を広げる契機とすることです。

■それぞれの分野から

 東京大学の近藤尚己准教授と山梨勤労者福祉会の清水季世子事務局長をコーディネーターに、四人のシンポジストが発言。高木績さん(山梨勤医協理事長)は、高い窓口負担、長時間労働などの過酷な労働環境により、受療権が侵害されていると指摘したうえで、「貧困の解消と社会保障の充実、労働環境の改善が受療権を守るカギだ」と発言しました。
 鷲見よしみさん(県介護支援専門員協会会長)は、抑制的な制度改正を重ねた結果、生活支援のしくみが弱まり、「介護離職」増などの社会的損失を大きくしている矛盾について話しました。
 米山けい子さん(NPO法人フードバンク山梨理事長)は、「食のセーフティーネットと子どもの貧困」と題し、調査・研究結果を発表。フードバンクの支援対象で子どもがいる二六九世帯のうち、主食、主菜、副菜のバランスがしっかりとれているかの調査では、一日二回以上とれている人は一%、まったくとれてない人は八六%にのぼり、栄養面でも大変な状況が分かりました。
 下村幸仁さん(山梨県立大学人間福祉学部教授)は「拡がる県内の貧困と格差の実態」をテーマに貧困拡大の構造、最低生活・健康の確保が公的責任ではなく「自己責任化」される問題を指摘しました。

■参加者は

 参加者からは「一人一五分ではものたりない、じっくり講演を聴きたい」と積極的な意見が複数寄せられました。また「貧困の実態を知る機会になった」「自分に何ができるのかを考える機会になった」との感想も。ある参加者は「現時点で貧困状態でなくても、病気になって多額の医療費が必要になることをきっかけに、貧困に陥る危険が誰にでもあることに気付いた」と語りました。「地域にある問題解決に向けて行動を起こしたい」と触発された職員があったことも大きな成果です。

*    *

 企画の成功に向けて、申し入れ活動も実施。一〇月後半から当日直前まで、のべ五五人の職員が医療・介護事業所、民間団体など五六カ所を訪問しました。宣伝活動をすすめるにあたっては、ビラやポスター、開催案内を作成し、これに全日本民医連の「提言パンフ」をセットにした宣伝用資材を用意して訪問前に郵送しました。フードバンク山梨、NPO法人やまなしライフサポート、「タダゼミ」など、県内で貧困問題にとりくむ諸団体・個人との交流が実現しました。各団体がとりくんでいる課題の情報を交換しあえたことで、山梨民医連との連携・協力関係を発展させる展望が見えました。事例に基づく学習会などを共にとりくんでいく方向で話し合いをすすめています。

(民医連新聞 第1589号 2015年2月2日)

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