声明・見解

2015年2月12日

【声明2015.02.12】原発の周辺住民の生命や安全より再稼働を優先する高浜原発の審査書決定はただちに撤回せよ

2015年2月12日
全日本民主医療機関連合会
会  長  藤末 衛

  原子力規制委員会は2月12日、関西電力高浜原発3、4号機の安全対策が「新規制基準に適合している」とした審査書を決定した。審査書は、福島第一原発事 故の教訓が反映されていない「新規制基準」にもとづき作成された。審査書案には約3,615件の意見が寄せられたが、大きな修正はなかった。高浜原発は、 事故に備えた防災対策が求められる30km圏が福井、京都、滋賀の3府県にまたがっているが、他府県どころか地元での住民説明会の開催計画もない。この決 定は、まさに原発周辺の住民の生命や安全より再稼働を優先するものであり、撤回を強く求める。

 福島第一原発事故の発生から約3年11カ月 が経過したが、福島ではいまだに約12万人が避難生活を強いられ、放射能汚染により住み慣れた家や故郷を奪われたままである。そのうち約4万人が県外へ避 難している。自宅に帰れる見通しはまったく立っていない。劣悪な仮設住宅等での避難生活が長引く中で、体や心の健康を害し、震災関連死が、地震・津波の直 接被害で亡くなった方を上回り、なお増え続けている。原発事故により、いまだに多くの被災者が、先の見えない暮らしの中に追い込まれている。これらの人び との救済すら終わっていないのに、再稼働をすすめる政府の方針は論外である。
 また、福島第一原発の現状は、放射能汚染水が増え続け、コントロー ルできない非常事態が続いており、原発事故は収束の目途も立っていない。政府が今やるべきことは、国内外の英知を結集し、福島第一原発事故の汚染水対策に あたることであり、原発事故の原因を究明することである。

 高浜原発の30km圏は福井、京都、滋賀の3府県にまたがっており、京都府舞鶴 市の一部は、非常時に即時避難の対象となる5km圏に入っている。原発再稼働には地元自治体の同意が必要であるが、関西電力は原発が立地する高浜町と福井 県に自主的に同意を求めるとしている。また、福井県は地元での住民説明会の開催を求めない方針である。これに対し、京都府の山田啓二知事は「(立地自治体 に準じた)原子力協定なしでの再稼働には反対」との立場を明確にしている。滋賀県の三日月大造知事も原子力安全協定の締結を求めている。万が一原発事故が 起きれば、近畿圏1千万人の水瓶である琵琶湖が放射能により汚染され、重大事態になることも予想される。さらに昨年の夏は48年ぶりに「原発稼働ゼロ」の 夏となり、原発なしで電力をまかなえることが証明され、原発再稼働を強行する根拠はない。

 いまこそ安倍政権は、原発再稼働ではなく、原子 力発電からの撤退を決断し、国内全ての原発を廃止しエネルギー政策を再生可能エネルギー中心に転換すべきである。全日本民医連は、国民の生命と健康、安全 を守る立場から原発事故被害者に寄り添い、引き続き幅広い人びとと連帯し、原発再稼働反対、原発ゼロの日本をつくるため全力を尽くすものである。

以上

(PDF版)

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