声明・見解

2015年5月7日

【声明2015.04.30】世界規模での対米軍事支援を誓約した日米軍事協力新指針(新ガイドライン)に断固抗議する

2015年4月30日
全日本民主医療機関連合会
会長 藤末 衛 

 4月27日、日米両政府はニューヨークで外務・軍事担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を開き、米軍と自衛隊の協力体制や役割分担などを定めた新しい日米軍事協力指針(新ガイドライン)を了承した。ガイドラインの改定は1997年以来18年ぶりとなるが、新ガイドラインは旧ガイドラインと比べても、日本を「戦争する国」へと変貌させる危険な内容を持っている。
 第1に、軍事協力の地理的限定が取り払われた。旧ガイドラインで「日本周辺」だった活動範囲は「アジア太平洋地域およびこれを越えた地域」とされた。2プラス2後の記者会見でカーター米国防長官は、「日米が世界中のどこでも、ともに行動できるようになる」と述べた。
 第2に、第3国に対する武力攻撃がおこなわれた際の自衛隊の武力行使にも道が開かれた。新ガイドラインは、「日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生」し、その武力攻撃によって「日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」に至ったと認められれば、「武力の行使を伴う適切な作戦を実施」するとしている。集団的自衛権行使容認の閣議決定(昨年7月)を具体化したものだが、「明白な危険がある」と認定するのは時の政権であることからも、第3国に対するどのような武力攻撃が集団的自衛権発動の理由となるのか、事実上制限はないと言わざるを得ない。
 第3に、後方支援と呼ばれる内容も「補給、整備、輸送、施設及び衛生」の他、「これらに限らない後方支援」をおこなうこととされており、これも無制限になっている。
 新ガイドラインは、以上のような世界規模での軍事協力を、平時から情報共有を含め、「切れ目なく」おこなうことをうたっており、日米同盟が世界平和を脅かす発火点になりかねない。これだけの重大な内容を国会にもはからずに決めるなど、言語道断である。
 さらに2プラス2は、辺野古新基地建設について「普天間基地の継続的な使用を回避するための唯一の解決策」との共同発表をおこなったが、昨年の県知事選挙でも示された沖縄県民の圧倒的な意思を踏みつけにするもので、許すことはできない。
 安倍政権は、5月にも国会に新ガイドラインの法制化とも言える「戦争立法=海外武力行使法」を提出するとされている。全日本民医連は日本国憲法の理念を掲げ、いのちを守ることを使命とする医療・介護施設の団体として、新ガイドラインに怒りをこめて抗議し、日本を「戦争する国」にさせないたたかいをさらに大きく広げる決意をここに表明する。

以上

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