健康・病気・薬

2015年6月2日

副作用モニター情報〈438〉 フェブリクの注意すべき副作用

 フェブキソスタット(製品名:フェブリク)は、痛風や高尿酸血症の治療に用いる選択的キサンチンオキシダーゼ阻害剤です。
 従来の尿酸合成阻害剤であるアロプリノールと違い、プリン骨格を持たず他の核酸代謝に影響を及ぼしません。また、肝臓からも排泄されるため中等度の腎障害の患者でも服薬量を減らす必要がなく、1日1回の服用で済み高血圧の合併症がなくても適応となることなどから使用量が増えています。
 2011年に発売されてからこれまでに、14症例20件の副作用が報告されました。症状別に内訳をみると、乏尿や急性腎不全など腎障害が4件、肝不全や肝機能障害が4件、発疹・痒みなどの過敏症が4件、傾眠・眠気などの精神神経系が3件、便秘・嘔吐など消化器系が3件、関節痛とCPK上昇が各1件。年齢別では、50代1例、60代2例、70代4例、80代7例と、高齢になるにつれ増える傾向です。重篤度分類では、グレード3の急性腎不全と肝機能障害が各1件、グレード2の肝障害2件と入院治療が必要だった乏尿の症例以外はグレード1の軽微な副作用で、転帰不明の急性腎不全と肝不全を合併した症例以外はいずれも服薬中止で回復しています。

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 フェブリクの注意すべき副作用として、添付文書には痛風関節炎、甲状腺関連所見、肝障害などが記載されています。ところが盲点になっている副作用に、乏尿や急性腎不全など腎機能障害が挙げられます。
 PMDAの報告副作用一覧でも、2014年度に報告されたフェブリクの副作用70件のうち、尿閉や腎不全など腎機能関連の報告が11件もありました。利尿剤や降圧薬ARBなどを併用している高齢者に多い傾向が見られます。当モニター報告でも、急性腎不全の症例はARBと利尿剤を併用していた60代の患者、尿流出不良の症例は慢性腎不全の合併症があり利尿剤を併用していた70代の患者、乏尿の症例はARBと非ステロイド性抗炎症薬を併用していた80代の患者でした。
 添付文書には、腎および尿路系の副作用の発生は、尿中β2ミクログロブリン増加が1%未満、尿量減少が頻度不明と記載されています。しかし、高齢者や腎機能が低下している患者で、とくにARBや利尿剤、非ステロイド性抗炎症薬など腎機能に負荷がかかる薬剤を併用している場合は、腎機能障害に注意が必要です。

(民医連新聞 第1597号 2015年6月1日)

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