医療・看護

2015年9月8日

学んだ! つながった! 学生たち 2015夏

 夏は学生のとりくみが盛んです。学校を離れ、日常では体験できないことを経験し、学びます。今年も「看護学生ゼミナール」は8地域に分かれ、学生自らテーマを決め学習・交流を深めました。「医師体験」では、高校生・受験生が民医連医師や患者と交流。歯科衛生士体験も根付いています。各地のとりくみを紹介します。

看護学生ゼミナール

北海道 原発から考える 第12回MS(メディカルスチューデント)フェスタ

 七月二五~二六日、「原発から考えるPeace Sign」をテーマに、看護学生三二人を含む四八人の参加で開催しました。学生実行委員が「原爆と原発の歴史やその影響」「日本国憲法と非核三原則」などを発表、NPTニューヨーク行動に参加した職員の話を聞きました。
 その後、泊(とまり)原発へ。原子力PRセンターで原発の安全性について、地元町議から危険性やずさんな避難訓練の実態などを聞きました。二日目は、対岸に泊原発を臨む会議室で、その近さと危険さを身近に感じながらグループワークを行い、発表しました。学生は「身近な人達に伝えたい」と語りました。交流会、先輩看護師からのメッセージや職員のダンス披露など、楽しく学んだ二日間でした。(伊藤リカ、北海道民医連・看護師)

東北 未来への第一歩 第26回T6ENC(東北6県エッグナースサークル)

 八月八~九日、岩手県雫石町で行い、学生七二人を含む一一一人が参加。テーマは「Dream~未来への第一歩~」。戦後七〇年、戦争や平和について学び、できることを考えようと、広島で被爆した九一歳の斎藤政一さんから話を聞きました。「改めて戦争の恐ろしさを実感した」「学んだことを次の世代へ伝える役割がある」との発言が聞かれました。交流会では、他県の学生との交流も深まりました。
 二日目は三分野(成人、老年、周手術期)で、採血・点滴、KYT(危険予知トレーニング)、ガウンテクニックを体験。グループ内で教え合い、学んでいました。(千田昌也、岩手民医連・事務)

北関東・甲信越 物語られるいのち 第6回NEF(ナースエッグフェスティバル)

 八月一二日、長野県長野市で開催。「物語られるいのち~信濃の国から~」をテーマに、看護学生一一二人を含む一六〇人が参加。上伊那医療生協病院の後藤あゆみさんから、「物語られるいのち」のとりくみが始まったきっかけ、事例などを聞き“寄り添う看護”とは何かを考えました。グループディスカッションでは、「『その人らしく生き、その人らしい人生を終えるために』できる事は何か?」と討論し、「入院生活で生活リズムに合わせる援助をする」「医師の言葉をわかりやすい言葉にして伝える」などの意見が出されました。
 初めての日帰り開催で限られた時間でしたが、学び交流し、看護への理解を深める時間を過ごせました。(地協NEF実行委員会)

関東 生活背景に寄り添って 第25回NEF

 関東地協は一一月にNEFを開催予定。「What’s Japanese  problem?~貧困から見える現状」がテーマ。八月八日の第三回実行委員会で企画を練りました。
 学習も実施。神奈川・戸塚病院の事務、上平佳奈子さんが「私と民医連」と題して講演。「気になる患者さん訪問」など、事務ならではの目線で患者と関わった経験を聞きました。「患者さんの生活背景に寄り添える看護師に」とメッセージをもらいました。(関東地協第25回NEF実行委員会)

東海・北陸 希望ある未来へ 東海北陸地協第10回DANS(ディア・アクティブ・ナーシング・スチューデンツ)

 八月八~九日、福井県で「START DASH!~希望ある未来へ~」をテーマに開催し、学生四六人を含む九〇人が参加。フィールドワークでは患者さんの自宅を訪問し生活実態を知りました。地域医療を実践している福井民医連の平野治和会長や訪問看護師の講演を聞き、討論しました。
 学生から「患者さんの思いを引き出し寄り添える看護師になりたい」「みんなでささえることの大切さを学んだ」などの感想が出ました。交流も深めました。(花井ちひろ、三重民医連・看護師)

近畿 好きな憲法の条文は 近畿地協看護学生ゼミナール(Egg Nurse Step to B)

 八月一〇~一一日、神戸で開催し、近畿の看護学生九四人、職員三六人が参加しました。
 学習企画では、愛知県立大学の久保田貢先生が「ちゃんと学ぼう! 憲法」のテーマで講演。日本国憲法全文を読み、好きな条文を三つ選び交流しました。討論では、「私たちの世代が真っ先に戦争にかり出される。安倍総理みたいに安全な場所にいる大人たちに決めてほしくない」など、白熱した議論が起きていました。戦後七〇年の今年は、参加者みんなで折り鶴のタペストリーを作成しました。(近畿地協ENS実行委員会)

中国・四国 平和ってなんだろう 第12回DANS

 八月二一~二二日、徳島市で「DANSの果てまでいってPEACE~なんだろう みんなが思う 今の日本の平和とは」をテーマに、学生七九人を含む一二三人が参加しました。今回のポイントは、(1)七三一部隊、(2)日本国憲法、(3)戦争の被害と加害。全日本民医連の長瀬文雄副会長の学習講演では、七三一部隊を通して平和と人権について学びました。元徳島白菊特攻隊の方から貴重なお話を直接聞くことができました。
 七三一部隊、風船爆弾、歴史教科書、ハンセン病、核問題、褥瘡、認知症、介護保険、在宅医療など、各県連での学びも交流。学生からは、「知らなかったことを学ぶ事ができた。これからもアンテナを張り、自分たちで発信、行動していきたい」など感想が出ました。つながりも深める事ができました。(栗栖皆代、広島民医連・事務)

九州・沖縄 「まちづくり」考える 大分JEWL(ジョイン・エブリシング・ラップ・ラーン)

 八月八~九日、九沖JEWLが大分で開催。テーマは「発見!ご当地エネルギー~大切な資源・分かち合おう未来~」。看護学生・職員合わせて六〇人余が参加しました。九州・自然エネルギー推進ネットワーク代表の小坂正則所長を講師に、エネルギー問題を学びました。
 グループワークでは海のある町、山のある町などの与えられた設定から「安心・安全なまちづくり」を考え、模造紙の上にそれぞれの「まちづくり」をしていきました。
 とまどいながら始まったグループでのとりくみでしたが、「まちづくり」をする看護学生は輝いて見えました。(伊藤由喜江、大分健生病院・看護師)

高校生歯科衛生士体験

なりたい気持ち強く 山梨民医連

 八月六日に高校生を対象とした歯科衛生士体験を県内の歯科四事業所合同で開催。三三人が参加しました。事業所見学・歯みがき指導・歯牙模型取りなどを体験。「実際の診療現場を見学でき、患者さんとの距離や緊張感が伝わってきた」「体験しないとわからないことを知ることができ、なりたい気持ちが強くなった」と感想がありました。
 この体験も今年で五年目。学校の先生も熱心に協力してくださり、地域と民医連を繋ぐ活動として定着してきました。これからも歯科一丸となって、歯学対と共に活動を発展させていきたいです。(鴨下萌子、巨摩共立歯科診療所・歯科衛生士)

高校生医師体験

「医師になる決意」 宮崎生協病院

 当院では、毎年五~八月の毎週土曜日、医師を目指す高校生を対象に医師体験を行っています。今年度は、県内一四校から六二人の高校三年生が参加しました。
 ある日の体験では、医師の診察の様子を見学し、聴診器で患者さんの心臓の音を聞かせてもらいました。患者さんから「がんばってね」「優しいお医者さんになってね」とエールをもらい、患者さんと高校生に笑顔がこぼれました。
 学生の感想では、「医師体験を通して、改めてこんな仕事がしたいと、医師になる決意が固まりました」、「医学の知識を身に着けることが大切ですが、その知識を活かす前に、患者さんが一人の人間であることを忘れないようにしたいです」などが寄せられました。(時任友世、宮崎民医連・事務)

患者の声を大切に 千葉民医連

 当県連では毎年四回、高校生医師体験を実施しています。年間一〇〇人前後の高校生・受験生が参加しています。医師体験は病院と診療所で行われ、内科・外科・小児科・往診など様々なコースがあります。その中では医師との懇談や縫合体験、新生児室体験や往診同行など、普段はできない貴重な体験をしてもらっています。
 この夏に参加した学生からは「実際の問診を間近で見て、地域の人の体調管理もしながら、地域の人たちの話し相手にもなれる医師はかっこいいと思いました」「今回の医師体験で、医師になりたいという願望がいっそう強まりました。患者様の声を一番大切にして働ける医師になりたいです」といった感想をもらいました。(児玉亮佑、千葉民医連・事務)

(民医連新聞 第1603号 2015年9月7日)

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