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2015年10月20日

新専門医制度スタート(上) 私たちはどう向き合う? 多職種で医学生に語ろう 200人の医学生が合流する民医連へ

 新しい専門医制度が二〇一七年度からスタートします。医学生、研修医への働きかけや現場の対応など、三回連載で考えます。

 いま医学部では、間もなくスタートする新専門医制度を利用し、「専門医をとるなら大学に残ったほうが有利」などの発言が教官などから相次いでいます。そのため、「大学でないと資格が取れない」など間違った刷り込みで、医学生の中にキャリア形成に目を奪われる傾向も生まれています。

医師として目標とするものは

 医師のゴールとは何でしょうか。「専門医」を取得することでしょうか。研修指導で有名な沖縄の宮城征四郎医師(群(むり)星(ぶし)沖縄臨床研修センター長)は、「五年間で専門医になる必要なんかないと思います。どうしてそんなに早く専門家になりたいんでしょう。ストレートだと二四歳で医師免許をとり、それから五年間、二九歳で専門医になってどうするんですか? 七五歳まで働くとして、循環器の専門医だったらあと四五年間、カテーテルばかりやっていくんですか?」と発言しています。
 どの医師も、医師をめざした初心には「人のためになる仕事をしたい」「良い医師になりたい」という思いがあるはずです。現在、民医連には四〇〇人を超える医学部の奨学生がいます。すべての奨学生の初心に働きかけましょう。(1)医師のゴールとは何か。本来、そこへの道にはいろいろな道筋があるのではないか? 自分が本当に力をつけることができるのは、人々から求められることに応えようとする時ではないか、(2)民医連は、地域医療にとって必要なら、積極的にその専門医取得を保障していく立場であること、(3)新専門医制度は、全ての人が専門医資格をとる必要があるという法律制度ではなく、民医連のみならず多くの医療団体が同制度に懸念の声をあげ、地域医療の現場に大きな影響が出ないよう努力していること、(4)医師としての出発点である初期研修の二年間は、将来どのような医師になるかを左右する重要な期間であり、そこを軽視するのは誤りであること、(5)研修医(初期・後期ともに)は研修を受けるお客さんではなく、指導医たちとともに研修をつくっていく主体者であり、制度の改善を求めて声をあげることが大切なこと―。など、それぞれの県連・法人・事業所の現在と未来も踏まえて語りかけることが必要です。
 奨学生だけでなく、現在の一、二年目の研修医にもていねいに伝え、思いを聴く必要があります。

現場の姿をまっすぐに

 医療現場に研修や実習で訪れた医師や研修医に、共同組織の皆さんも含め多職種から、医師養成や医療課題にチームで関わる現場の姿を見せましょう。これは民医連の研修の大きな優位点です。また、命の平等が脅かされている現実を伝え、その中で最も弱い人たちに光をあて、根本にある矛盾にアタックする民医連で働く後継者になってほしい、と率直に訴えかけましょう。
 全日本民医連理事会は、二〇二一年卒には、毎年医学生二〇〇人が合流する民医連へ、中低学年で奨学生を増やし、育てる大運動を提起しました。この一〇月から来年四月までに、中低学年の医学生で一〇〇人の奨学生を迎えることを提起しました。民医連の後継者を、また、今後の民医連の質をつくりだしていく、大事なとりくみです。

徳山通(全日本民医連理事)

(民医連新聞 第1606号 2015年10月19日)

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