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2015年10月20日

小池晃参院議員に聞く 「民主主義破壊」とのたたかいです

 戦後最長の二四五日間に及んだ通常国会が九月二七日、閉会しました。世論に背を向けて強行した戦争法の問題点や今後の政治について、民医連出身の医師で参院議員の小池晃さん(日本共産党)に聞きました。

丸山聡子記者

 戦争法(安保法制)が自公の強行採決で成立しました。しかし、戦争法への反対とともに、憲法を根本から覆そうとする政府への怒りが、これまでとは違う次元で広がりました。民主主義を破壊する勢力とのたたかいが本格的に始まった、と受け止めています。

■戦争法 何が問題か

 戦争法は、これまで歴代政府が「憲法上できない」としてきた「集団的自衛権の行使」、つまり海外で戦争を行うことを可能にする法律です。さらに、これまで「戦闘地域」とされてきた場所で、自衛隊が米軍の武器・弾薬の輸送、戦闘行動に向かう航空機への給油を行うことを可能にします。「米軍と一体の武力行使」であり、これも明らかに憲法違反です。
 安倍首相は当初、「集団的自衛権は日本人の命を守るために必要」「ホルムズ海峡の機雷掃海を想定している」と国会で説明。しかし、参議院での最後の審議で「現実問題としては想定していない」と答弁するなど論拠が破綻しました。
 六月の衆院憲法審査会では、参考人の憲法学者三人全員が戦争法案は「憲法違反」と表明。にもかかわらず、政府は「憲法解釈を決めるのは学者ではない」などと強弁しました。
 八月一一日、私は参院特別委員会で、自衛隊の統合幕僚監部の内部文書を告発しました。法案を閣議決定したばかりの五月の時点で、法案成立を前提に自衛隊で具体的な準備を始めていたことを示す文書です。自衛隊を「軍」と呼び、日米共同の軍事司令部を平時から設置するなど、具体的な協力体制が記されていました。もちろん国会では説明されておらず、大きな問題となりました。
 かつての自民党なら、問題点が明らかになれば修正や継続審議に応じたこともありました。ところが安倍政権は、まともな議論を避け、議会のルールまで踏みにじり、数の力で押し通しました。もはや「独裁」政治というほかありません。

■放置できない事態

 日本共産党は、強行採決された直後に「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府」の実現を提案しました。憲法違反の戦争法は廃止し、一刻も早く憲法にもとづく政治を取り戻さなければなりません。
 九月一八日の野党党首会談で「今後とも憲法の平和主義、立憲主義、民主主義を守っていくために各党が協力する」ことを確認しました。共産党の提案はそれを具体化したものです。個別の政策の違いを脇に置いて、立憲主義を取り戻す一点で協力をめざします。
 提案は政党だけでなく、個人、団体にもあてたものです。ですから、民医連の皆さんに対しても、「国民連合政府」をいっしょに作ろうと言っているつもりです。そのためにも、戦争法の問題点や、自衛隊や日米安保条約、それが憲法に違反していることを学び討論することを呼びかけます。

■社会保障分野の改悪は

 通常国会では戦争法以外にも、国民の多数の反対を押し切り、暮らしに直結する法律が成立しています。
 「医療保険制度改革関連法」は、国保の都道府県単位化や入院給食費の値上げ、紹介状なしの大病院受診時の定額負担化、患者申し出療養などを盛り込んでいます。国庫負担を抑制し、保険者と自治体を医療費削減に駆り立て、国民に負担増を押しつけるものです。「生涯ハケン」「正社員ゼロ」に道を開く改悪派遣法も成立。違法派遣があれば直接雇用させる「みなし雇用」制度も骨抜きになりました。
 「戦争国家」とは、「社会保障切り捨て国家」にほかなりません。戦争法が具体化し、アメリカの戦争に参加することになれば、日本の軍拡予算はますます増大し、社会保障予算はさらに切り下げられます。
 来年は診療報酬改定ですが、大幅削減が狙われています。介護報酬はすでに削減されました。皆さんの運動で増やした医学部の定員も減らすことが狙われています。患者・利用者の実態を伝え、「戦争反対」「社会保障を守れ」と行動することがますます大切です。

*  *

 安倍政権はほかにも、TPP、沖縄の基地問題、原発再稼働など、国民との間に多くの矛盾を抱えています。安倍政治を終わらせるために、力を合わせましょう。


こいけ・あきら 1987年、小豆沢病院入職。甲府共立病院、北病院、代々木病院勤務。元全日本民医連理事。98年の参院選で初当選、現在三期目。参院厚生労働委員、日本共産党副委員長

(民医連新聞 第1606号 2015年10月19日)

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