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2015年10月31日

支え合い まちづくり イチからの支部づくり 事業所のないまちに支部を── 石川

 石川県では今年三月、各地域の友の会を統合して、全県をひとつにした「石川県健康友の会連合会」として新たなスタートを切りました。もともと支部がなかった「はくい健康友の会」は、「能登中部ブロック」への移行に合わせて、支部の立ち上げに奮闘しました。

志賀町支部でおこなわれている体操教室。「今日は体操の日」と毎回参加するのを楽しみにしている人も

志賀町支部でおこなわれている体操教室。「今日は体操の日」と毎回参加するのを楽しみにしている人も

genki289_10-02 能登半島の付け根に位置する能登中部ブロック。前身は石川勤医協・羽咋診療所を中心とする「はくい健康友の会」です。羽咋市・宝達志水町・志賀町・中能登町・七尾市の二市三町が活動エリアでしたが、事業所があるのは羽咋市だけ。支部はありませんでした。
 二〇一三年に全県で連合会を結成し、市町村ごとに支部をつくることが提起されたことで、同友の会は支部づくりを決意。昨年一一月に羽咋東部支部と志賀町支部、今年六月には羽咋西支部・宝達志水支部・中能登支部と、一市三町に計五つの支部が誕生しました。
 「県の方針が出てすぐ、羽咋診療所の事務長が職員会議の議題にしてくれたんです」と言うのは同ブロック責任者の秋山暁子さん。診療所では「支部づくりには職員も関わっていかなければ」と話し合い、職場ごとに担当する地域を決める「ペア職場」という制度を採用。友の会員といっしょに支部づくりにとりくむことになりました。

「楽しい」がカギに

 志賀町は羽咋診療所から車で三〇分~一時間かかります。町内八〇〇〇世帯のうち、友の会員は二〇〇世帯ほど。診療所も友の会も、地域での知名度は低かったそうです。
 「まずは何かやってみようと思い、他の地域でも人気の高い体操教室を開催することにしたんです」と志賀町支部の村木たみ子さんは言います。会場に選んだのは、医療機関もスーパーも近くにない山間の熊野地区。開催を知らせるため、二〇〇近い同地区の世帯を全戸訪問するなかで、高齢者のひとり暮らしが多いことに気づきました。
 体操教室当日は二〇人が参加。参加者の声を聞くと、「周りに迷惑をかけず、元気に暮らしたい」との思いを持っていることを知り、村木さんたちは「地域に密着して、住民の要望を聞ける支部が必要なのでは」と感じて、本格的に支部づくりに立ちあがりました。
 「支部結成総会を開こう」と、ペア職場の職員といっしょに友の会員を訪問しましたが、健康食品の訪問販売と間違われたことも。悩んでいたときに思い出したのは、奥能登健康友の会(現・奥能登ブロック)の珠洲支部を見学したときに言われた「楽しい会を開いて、それを積み重ねていくことが大事」という言葉でした。
 「それから、総会は参加者みんなで楽しく交流することを目的にして、チラシもつくりました。会員以外の人も誘って、当日は五〇人くらい参加してくれたんですよ」と村木さん。村木さんといっしょに支部立ち上げに尽力した浦真知子さんは「認知度ゼロで、訪問してても本当に支部がつくれるのかと思っていた。でも、総会で皆さんの温かい気持ちに触れて、やっぱり支部をつくって良かった」と当時を振り返ります。

動きはじめた支部運営

 同ブロック責任者の北川有一さんは「支部をつくったことで自分たちの地域をどうしていくか、自分たちで考えるようになった」と話します。秋山さんは「支部ができたことで、地域に合わせた活動ができるようになった」と言い、村木さんも「羽咋での企画には遠くて参加できなかった人が、支部での企画には参加してくれるようになった」と続けます。
 どの支部にも共通するのは「企画に参加した人がまた新しい人を連れてきて、何かするたびに新しい人が入ってきてくれる」ということです。これが自信になり、さらに新しいことにチャレンジしていこうという流れができました。
 中能登支部では来年四月に中能登町初の移送サービスを始めるために準備をすすめています。羽咋市でははくい健康友の会の頃から同サービスをおこなっており、そのノウハウを生かしながら、交通手段の少ない中能登町で高齢者を医療機関やスーパーに送迎する予定です。
 誕生したばかりの五つの支部。まだまだ手探りなところは多いですが、「楽しく、参加してくれる人の要求を大切にしていきたい」と、中能登支部の三浦裕美子さんは話します。

文・寺田希望記者/写真・酒井猛

いつでも元気 2015.11 No.289

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